この記事では、小殿筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
小殿筋の概要
小殿筋は中殿筋に覆われており、その作用は中殿筋とほぼ同じであるため、両者を区別することは難しいです。
小殿筋は停止部が大転子前面にあるため、わずかながら股関節の屈曲と内旋にも作用します。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 上殿神経 |
髄節 | L4-S1 |
起始 | 腸骨翼の殿筋面(前殿筋線と下殿筋線の間) |
停止 | 大腿骨の大転子の前面 |
栄養血管 | 上殿動脈 |
動作 | 股関節の外転,内旋(僅か) |
筋体積 | 138㎤ |
筋線維長 | 5.4㎝ |
速筋:遅筋(%) | 50.0:50.0 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
股関節外転 |
股関節内旋 |
1位 | 中殿筋 | 中殿筋(前部) |
2位 | 大殿筋(上部) | 小殿筋 |
3位 | 大腿筋膜張筋 | 大内転筋 |
小殿筋の触診方法
写真では、股関節を外転させることで中殿筋を収縮させて、大殿筋との境目の部分(屈伸軸に近い後方筋束)を触診しています。
小殿筋は中殿筋の深層にあり、筋線維の走行と作用も中殿筋とほぼ同じであるため、厳密に識別して筋収縮を触知することは困難です。
ストレッチ方法
長坐位にて片膝を立てて交差させ、腕をつかって股関節を内転させていきます。
骨盤の過度な回旋を防止するように注意してください。
筋力トレーニング
足首にチューブを巻いて立位の姿勢をとり、鍛えたい方の足を外側に振り上げていきます。
体幹の側屈や股関節の屈曲が入らないように注意してください。
圧痛点と関連痛領域
小殿筋の圧痛点(トリガーポイント)が前方線維に存在すると大腿から下腿の外側に痛みが生じ、後方にあると大腿から下腿の後方が痛みます。
下肢後面の痛みを訴える患者では小殿筋の圧痛が多いため、必ずチェックしておくことが必要な筋肉になります。
緊張を増大させる原因としては、過度のランニングやウォーキングがあり、歩行後に来る腰痛は小殿筋のトリガーポイントが疑われます。
歩行時に股関節外転モーメントが生じている場合は、必ずチェックしておきたい筋肉のひとつです。
股関節外転モーメントの原因には、①骨盤外方位、②骨盤挙上位、③COM外方位、④股関節内転位荷重があります。