アナトミー・トレインとは、トム・マイヤーズ氏が提唱した筋膜の外層を通じて機能的な力伝達の共通経路を説明しようとした理論です。
レールは全部で12本存在しており、その繋がりを知ることで筋膜治療へのイメージもしやすくなります。
この記事の目次はコチラ
SBL(スーパーフィシャル・バック・ライン)
SFL(スーパーフィシャル・フロント・ライン)
LL(ラテラル・ライン)
SPL(スパイラル・ライン)
SFAL(スーパーフィシャル・フロントアーム・ライン)
DFAL(ディープ・フロントアーム・ライン)
SBAL(スーパーフィシャル・バックアーム・ライン)
DBAL(ディープ・バックアーム・ライン)
FFL(フロント・ファンクショナル・ライン)
BFL(バック・ファンクショナル・ライン)
同側FL(同側ファンクショナル・ライン)
DFL(ディープ・フロント・ライン)
筋膜の繋がりを理解する
筋膜のつながりを理解しておくと、学校などでもよく実施される体前屈検査を即時に上げることも可能です。
一般的に体前屈検査はハムストリングスの硬さが制限因子となりますが、それだけの影響ではないことをここでは説明していきます。
下の写真は足関節が中間位(背屈0度)である場合と、足関節が底屈位である場合の長坐体前屈検査を比較した画像ものです。
足関節は中間位 | 足関節は底屈位 |
私は昔から身体がとても硬く、体前屈検査をすると全くといっていいほど床に手が届かず、ハムストリングスが突っ張ってしまいます。
しかし、長座体前屈なら足関節を底屈位にすることで、即時に手の届く範囲を伸ばすことができます。
もしもこれをハムストリングスの短縮のみで考えてしまうと、足関節の位置が影響するというのは矛盾が生じます。
他の例を挙げると、立位体前屈で足指を曲げた状態で行うことにより、即時に指床間距離(FFD)を伸ばすことができます。
これらを理解するためには、筋肉と筋肉の繋がり(深筋膜による連結)を知る必要があり、それに最適なのがアナトミートレインになります。
ハムストリングスは前述したSBLに属しており、腓腹筋や短趾屈筋と繋がるため、足関節や足趾を底屈させることでSBLが緩んで前屈距離が伸びます。
もちろんこれは体前屈検査の制限因子が「SBL」であった場合であり、それ以外の要素が強いようなら改善しません。
しかしながら多くのヒトで即時に改善を体感できるので、興味がある方はぜひ試してみてください。
その他の方法としては、足裏にボールを置いて、足底腱膜に沿いながらゆっくりと2〜3分ほど転がします。
あまり強くやりすぎると短趾屈筋が緊張して逆効果となりますので、リラックスした状態でやわらかく動かしていくのがポイントです。
ボールの動きとしては、足底腱膜の形状に沿いながら、踵から第1〜5趾のすべてに行き渡るように実施してください。
これはあくまで筋膜上の一部分に着目しただけの方法に過ぎませんが、たったこれだけでも体前屈検査が改善することがあります。
この理論を頭に入れておくことで、ライン上の筋膜の滑走不全を効率よく探し出し、リリースしていくことができるようになります。
参考書籍