斑目健夫氏が提唱する首のスジを押すマッサージは危険!

最近、自律神経の健康法にはまっている管理人ですが、医師の斑目健夫氏の著者をもう一冊買って読んでみました。

そして確信したのですが、この医師は東洋医学に心酔しすぎて、ちょっと意味不明なことを言ってます。はっきり言って、効果ないですよこれ。

自分みたいに本を買って失敗しないために、ちょっと間違ってるところを訂正していこうと思います。参考本は「首のスジを押すと超健康になる」です。

嘘のような実のような嘘

斑目氏の主張としては、迷走神経を刺激することで副交感神経が優位となり、これまでに線維筋痛症、がん、関節リウマチなどの難病も治してきたということです。

自律神経の健康法が嘘っぱちというわけではなく、この人の主張が少しオーバーすぎるといった感じがしますが、本人はいたって真面目に答えているようです。

脊柱管狭窄症の痛みや痺れも消える

本書でもっとも失望したのは、脊柱管狭窄症に関する主張です。斑目氏はしびれの原因は「筋肉のこり」にあると主張しており、術後も痺れが残るのはこりが残っているからと述べています。

医師がこんなでたらめを平気で書くなんて、本当になにを考えているのかと思います。内科医だから専門じゃないとか、そういう問題ではありませんよね。

術後も痺れが残るのは、すでに神経が不可逆性に障害されており、圧迫を取り除いたところで全快しないことが原因です。筋肉で脊柱管を圧迫してるとか、マジで意味不明です。

しかも斑目氏は、これまでに何度も脊柱管狭窄症の患者のこりを解消し、症状を改善させてきたと主張しています。ここまでくると、本当に医師なのかという疑問すらわいてきます。

自然医療研究所クリニックの閉鎖

斑目氏は、西洋医学と東洋医学が統合された「統合医療」という思想に心酔しており、治療においても東洋医学で施術することが多くあるようです。

そして、2003年に東京女子医科大学付属青山自然医療研究所クリニックの創設、および運営に携わることになります。しかし、このクリニックは2014年に閉鎖となりました。

斑目氏が主張するような奇跡体験が本当に起こるのなら、たったの10年でクリニックが閉鎖に追い込まれるなんてありえないことです。

この世に難病で苦しんでいる患者は山ほどおられます。病院では治らないからといって、怪しい健康食品や宗教にはまっていく方々をこれまでに何人もみてきました。

西洋医学で対応できないものが東洋医学で本当に補完できるのならば、その英知を是非とも論文で証明してくれないでしょうか。それができないのであれば、その辺の整体師となんら変わりませんよ。

迷走神経を刺激して改善する

この著書の最大のポイントは、迷走神経を刺激することで、薬も使わず、手術もせずに病気が治るというところです。その刺激カ所が首スジである胸鎖乳突筋と椎前筋群です。

確かにこの辺りに迷走神経が通ってはいますが、これらの筋をマッサージすることで迷走神経が刺激されて、自律神経が整うというのは話が飛躍しすぎています。

18世紀頃にはすでに頸動脈洞マッサージという方法が考案されていましたが、これも付近にある迷走神経を刺激して副交感神経を優位にするといった内容です。

現代では、そのマッサージをほとんど使用することがないのは、それほど効果がないからだということでしょう。そんな昔の方法を引っ張り出して紹介するなんて、ちょっとナンセンスです。

また、頸動脈洞マッサージは動脈内のブラークが飛んでしまう危険もありますので、素人は絶対に真似しないようにお願いします。

迷走神経刺激療法について

てんかんの治療で、迷走神経刺激療法という治療があるのですが、これは電気刺激発生装置を胸部に埋め込み、そこからリード線を延ばして頚部の迷走神経に巻付けて刺激します。

それにより、てんかんの症状を抑えることが可能と報告されていますが、その他にも、感情的に安定する、気分が自覚的にも改善するといったリラックス効果が認められています。

ただし、これらは神経を電気刺激することで得られる効果です。例えば、運動神経を電気刺激したら筋肉が動きますが、神経を圧迫したら痺れが起こります。

電気刺激と徒手的な刺激では、その効果はまったく異なります。それらを理解せずに、安易に刺激したらいいとは絶対に考えないようにお願いします。


他の記事も読んでみる

The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
rehatora.net © 2016 Frontier Theme