殿部から大腿外側にかけての痛みについて

先日に担当した患者さんの話になりますが、主訴は歩行時痛(右殿部から大腿外側)で、診断名は椎間板症となっていました。

MRIでは、L3/4・L4/5・L5/Sに椎間板膨隆を認め、L3/4では椎間板が右側に膨隆しているヘルニアをきたしていました。

下肢のしびれはなく、立位前屈・後屈・右回旋などの動きで痛みが生じ、歩行時は痛みが強いために歩行車を用いての来室でした。

受傷機転としては、仕事で浴槽の熱湯をバケツですくい出す作業があり、その時から痛みが発生していました。

ここまでの話から椎間板ヘルニアが主因である可能性は低いと考えられたので、圧痛や過緊張のある筋筋膜を中心に探していきました。

触れていくと大殿筋や外側広筋に圧痛が認められ、アナトミートレインにおけるBFLが影響していると考えられました。

大殿筋:筋膜:BFL

大殿筋は階段の上りや膝を曲げて物を持ち上げる動作の反復などで酷使されますが、おそらくは熱湯をすくい出す作業が影響したと推察されます。

大殿筋の圧痛点(トリガーポイント)は3箇所に出現しやすく、殿部を中心に痛みが起こります。

どこに圧痛や滑走不全が存在するかは実際に全体を触診していき、ポイントを見つける度にリリースしていきます。

その後に大殿筋のストレッチングを実施し、最後に歩いてもらうと疼痛は大幅に軽減しており、普通に歩くことができました。

ここまでの結果で筋筋膜性疼痛であることが確定したので、大殿筋に負担のかかる動作の説明と制限、在宅でのストレッチを指導しました。

BFLの問題は殿部から大腿外側(前方に向かう)に痛みが放散するので、その特徴的なラインについて知っておくと効率的に治療ができます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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