この記事では、烏口上腕靱帯(coraco-humeral ligament:CHL)について解説していきます。
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烏口上腕靱帯の概要
烏口上腕靱帯は名前の通りに烏口突起と上腕骨を繋げる靱帯であり、骨頭が下方に落ちないように吊るし上げて支える役割があります。
もしも烏口上腕靱帯を含めた上前方支持組織に弛緩がみられる場合は、骨頭の下方不安定性(下方変位)が生じます。
烏口上腕靱帯には小胸筋の一部線維がそのまま合流しているため、小胸筋の緊張増大はそのまま烏口上腕靱帯の緊張に繋がります。
腱板疎部を補強する形で走行しており、その直下には上腕二頭筋長頭腱が位置し、長頭腱は深筋膜を介して小胸筋と強く連結します。
基本データ
項目 |
内容 |
起始 | 烏口突起、小胸筋の一部線維 |
停止 | 上腕骨の小結節,大結節 |
緊張肢位 | 肩関節の内転,伸展,水平伸展 |
弛緩肢位 | 肩関節の外転,屈曲,水平屈曲 |
関連する疾患
- 肩関節拘縮
- 肩関節不安定症
- 腱板疎部損傷
- 肩峰下インピンジメント etc.
肩峰下インピンジメント
小胸筋の緊張が増大しているケースでは腱板損傷をきたしやすいですが、その理由として烏口上腕靱帯の短縮が疑われます。
前述したように烏口上腕靱帯の短縮は上腕骨頭を上方変位させる方向に働くため、烏口肩峰弓下間隙が狭小化し、肩峰下インピンジメントや夜間痛が生じやすくなります。
五十肩(肩関節周囲炎)では関節包の炎症や縮小化に加えて、烏口上腕靱帯の癒着や肥厚も存在しているのでチェックが必要です。