知覚検査の方法について(評価用紙のダウンロード)

知覚検査の方法について記載しています。

知覚検査の概要

知覚異常は主に神経障害に由来していますので、知覚検査は神経の障害の程度を判定するための方法になります。

検査は主に表在感覚とと深部感覚、場合によっては複合感覚を評価していきます。

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表在感覚の検査

表在感覚には、①触覚、②痛覚、③温度覚の三つがある。触覚の伝導路は後索路と前脊髄視床路で、痛覚と温度覚の伝導路は外側脊髄視床路である。

感覚 検査方法
触覚 ティッシュや筆毛を用いて皮膚に軽く触れる
痛覚 爪楊枝やピンを用いて皮膚を軽く刺激する
温度覚 温水と冷水をペットボトルに入れ、それを皮膚に当て、「温かい」「冷たい」のどちらかを答えてもらう

評価する際は、患者の姿勢などの状況を書き、次回に実施するときに条件が同じとなるようにする。検査は、上肢や下肢、顔、手指、足底などに実施する。

脳卒中の片麻痺などで感覚検査を実施する場合は、非麻痺側を10とした場合の値を記入する。両麻痺の場合は、麻痺がない部位と比較してもよいが、どの部位と比較したかを記載しておく。

非麻痺側は健常ではないので、感覚受容器のレセプターが侵されていないかを確認する必要がある。

深部感覚の検査

深部感覚には、①運動覚、②位置覚、③振動覚の三つがあり、その全てが後索路を通過して伝達される。

感覚 検査方法
運動覚 動かした方向を答えてもらう
位置覚 健側を他動的に動かして、患側でその運動をマネさせる
振動覚 C音叉を振動させて骨突起部に当てる。振動が止まったと答えたら反対側の同部位に当て直して振動を感じるかを答えさせる

浮腫などによって関節内圧が上がっていると、多く屈曲していると勘違いすることがある。そのため、位置覚よりも運動覚のほうが一般的に使用される。

仰臥位で膝関節の位置覚を測ろうしても、股関節の動きが入ってくるので単独で測れない。単独で測れるように座位で行う関節の動きは単独で行うようにする。

運動覚を評価する際は、5回の実施でどれだけ正解があったかで判定する。例えば、5回中3回が正解だった場合、「3/5」と記載する。

位置覚では健側と同じ動きをさせるのが一般的だが、別法として、特定の距離を移動させたときにどれだけズレるかを評価する方法もある。

例えば、椅子に腰掛けて、開眼させた状態で足底を床に接地し、その位置より前方5cm、後方10cm、後方5cmと動かして、その感覚を覚えてもらう。

次に閉眼して、先ほどの動きを真似してもらうことにより、何㎝のズレが生じたかを記載する。この方法では、左右どちらに障害があっても評価することができる。

複合感覚の検査

複合感覚の検査には、2点識別知覚や皮膚書字試験などがあるが、これらは高度な知覚識別が必要なため、感覚に加えて頭頂葉の機能低下がないかを確認できる。

感覚 検査方法
2点識別知覚 コンパスやノギスを使って皮膚上の2点を同時に触れたり1点を触れたりし、2点と感じた最小距離を計測する
皮膚書字試験 皮膚に0 ~9の数字や○×△などの字を書き、なにを書いたかを答えさせる

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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