短時間通所リハビリが2021年度介護報酬改定で受ける影響

徐々に『2021年度介護報酬改定』の概要がわかってきましたが、それによって短時間通所リハビリがどのような影響を受けるかについて考察していきます。

改定案①:1ヶ月単位の包括報酬

現在、要介護者の通所リハビリは利用回数に応じた料金設定となっていますが、それが1ヶ月単位の料金となる案が出ています。

これは要支援者の料金設定と同じであり、利用回数とは関係なく、一定の収入が見込める計算となります。

トータル的には減算となる可能性もありますが、利用者が何日か休んでも減収とはならないため、個人的には期待している部分です。

送迎なしの短時間型デイケアというのは、要支援者のほうが収益がよく、要介護者は要支援者の半分以下ほどしか収益がありません。

さらに要介護者は1回毎の料金であり、休まれるたびに減収となるため、あまり受け入れてもメリットがないわけです。

そのような矛盾を解決できる可能性があるため、要支援者のように1ヶ月単位の包括報酬となることには大賛成です。

改定案②:要支援者の長期利用は減算

要支援者の長期利用(おそらく6ヶ月以上)は、単位を引き下げる方向で議論が進んでいます。

以前から慢性的な通所リハビリの利用に対して警告がありましたが、それを強制的に実行させる手段として減算が用いられるようです。

減算の幅にもよりますが、あまりにも減算されるようであれば、今後の通所リハビリの方向性を考えていかなければなりません。

要支援者は何時間利用しても料金は同じなので、短時間ならそこまでの打撃にはならないかもしれませんが、一体どうなるか気になるところです。

改定案③:リハマネ加算Ⅰを基本報酬に組み込む

現行のリハマネ加算Ⅰを廃止して基本報酬に組み込むという内容です。

2015年度の改定で個別リハビリテーション実施加算が廃止されて基本報酬に組み込まれましたが、それと同様のことが起きるようです。

当時もそうでしたが、おそらくはトータル的に減算となるので、ここも微妙に打撃を受けることになりそうです。

リハマネ加算ⅡとⅢは残ることになりますが、データ提出が必須となるために、今後も算定する施設はごく一部に限られると思います。

改定案④:移行支援加算に名称変更

ここでは詳しく解説しませんが、社会参加支援加算の内容が一部変更となり、加算の名称と内容にミスマッチがあることから移行支援加算へと名称を変更するようです。

1年後の通所介護移行実績を要件化するなどのアウトカム指標を組み込むことも検討されており、卒業を加速させる内容となりそうです。

前述した要支援者の長期利用の減算と合わせて考えると、今後は連携できるデイサービスを作り、リハビリが必要になったときにサービスを柔軟に変更できる体制を整えることが大切といえそうです。

改定案⑤:生活行為向上リハビリテーション実施加算の変更

現行の加算では、3ヶ月までは単位が高く設定され、その後の3ヶ月(6ヶ月まで)は単位が低く設定されます。

それをフラット化することが議論されており、さらに加算算定後に通所リハビリを継続利用すると減算となる内容を廃止することが検討されています。

これらは施設的にはメリットが大きい内容なのでウェルカムですが、この加算を算定している施設は1%未満なので、ほとんどのところは無関係です。

改定案⑥:入浴介助加算の減算

短時間通所リハビリは入浴をしていないので関係ないのですが、入浴介助加算の減算についても議論があるようです。

その代わりとして、個浴の加算が新設されるようで、これは利用者にとっても良い選択肢になるではないでしょうか。

おわりに

ここで述べたことはまだ確定ではありませんので、あくまでこのような議論がされていることとして知っておく程度にとどめておいてください。

今後に内容が確定したら、また別に記事を書こうと思いますので、そのときにまた読みに来てください!


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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