筋・筋膜にアプローチするといっても、具体的に「どの部位」を「どのようにして」治療したらいいのかは難しいところです。
治療手技も無数に存在していますので、なにを学べばいいかも悩みどころではないでしょうか。
個人的には用いる手技は正直どうでもよくて、大切なのはどの部位にアプローチして、問題を見つけていくかだと思います。
結論から書くと、筋・筋膜でアプローチするべきポイントは、①筋腹(筋線維の中央)、②運動中心点、③筋間(組織間)の3つになります。
この記事の目次はコチラ
①筋腹(筋線維の中央)
筋肉は筋線維束の集合体ですが、筋線維が収縮する際は中央に向けて収束するため、オーバーユースなどで疲労すると筋線維の中央にトリガーポイントが形成されます。
筋線維が単純に並行だけの筋肉(並行筋)なら筋腹に現れますが、羽状筋のように中央に向けて左右から線維が斜めに走ってる場合は左右にトリガーポイントが現れる可能性があります。
腹直筋のように結合組織の腱画によって分割されている長い筋の場合は、それぞれの腱画内に筋腹があるため、多発的に形成されます。
そのため、筋の構造(筋線維の向きや腱画の有無)は把握しておく必要があります。
治療では索状硬結のある筋線維束を見つけて、ゆっくりと深く押圧するようにしてリリースしていきます。
②運動中心点
肩関節を屈曲させる筋肉には、三角筋前部、大胸筋上部、上腕二頭筋、前鋸筋などがありますが、これらの筋肉は協同収縮しながら屈曲運動を実現しています。
運動が行われる中心(収束する点)を運動中心点といい(勝手に私が表現してるだけですが)、筋線維の中央と同じように硬くなりやすいポイントとなります。
この運動中心点は筋肉ではなく筋膜(深筋膜上)に存在しており、アプローチする際は筋肉のように押圧するのではなく、深筋膜に垂直な圧を加えた状態で上下左右に滑らせていくことが必要です。
この方法は筋膜マニピュレーションを参考にしており、成書では協調中心と融合中心という言葉で表現されています。
③筋間(組織間)
筋肉が慢性的な緊張状態にあると、その周囲にある組織と癒着し、滑走性が失われているケースが非常に多いです。
そのため、硬くなっている筋肉の外縁をたどるようにしながら触れていき、組織間に硬さがないかをチェックしながらリリースしていくようにします。
筋肉は深筋膜を介して繋がっているので、滑走性を改善させることと、組織間に指先が入る(場所によりますが)ことを目標にアプローチしていきます。
おわりに
ここまでは筋・筋膜を中心に書いてきましたが、皮膚(浅筋膜)のタイト、炎症性障害による組織の瘢痕なども徒手的にアプローチすべき場所になります。
硬い場所を効率的に見つけるためにはある程度の知識が必要となるので、私が普段から参考にしている書籍もチェックしてみてください。