筋・筋膜性疼痛に対する治療の限界

筋・筋膜性疼痛に対してアプローチする場合に、筋膜変性の原因と増悪因子について理解しておくことは重要です。

以下は、Luigi Stecco氏著の筋膜マニピュレーションに掲載されているものになります。

比較的に臨床で遭遇しやすい原因として、過去の怪我(捻挫、骨折、手術など)が挙げられます。

これらは明確な筋膜の滑走不全が触知できる場合が多いので、治療効果としても期待できるレベルにあると考えられます。

次いで、特定の筋肉のオーバーワーク(過用)が挙げられ、原因としては不良姿勢の持続、仕事やスポーツに伴う反復動作などが引き金となりやすいです。

これらも筋膜の滑走不全を触知できますが、治療しても再出現する可能性が高いため、効果を永続させることは困難です。

増悪因子を見てもわかるように、特定の筋肉の過用が引き金にも増悪にも繋がるので、治療と同時に過用を防ぐことを考えなければなりません。

身体の触れられる部分に問題があるなら徒手的にアプローチも可能ですが、触れにくいところにある場合は治療がより難しくなります。

大気の不安定性や情動ストレスも増悪因子となるため、患者によっては総合的にバランスが整わないことには改善しないケースも多いです。

私自身は筋膜アプローチについて講習を受けたわけではありませんので独学にはなりますが、2年間ほど実践してきた感覚だと治療効果には限界があります。

確かに治る人は1回の治療でも良くなりますが、治らない人は何回してもあまり改善させることはできません。

ただし、治らないからといって治療をしなくなると悪化する可能性が高いので、定期的にマッサージを受けるというのもアリだと思います。

どんな痛みでも良くなる魔法のような手技は存在しませんが、特定のケースには魔法のように効果を発揮できることはあります。

そのような取りこぼしを防ぐためにも、筋膜アプローチについて勉強することは理学療法士には必須だと考えています。

まだまだ勉強中なので偉そうなことは書けませんが、勉強しておいて損は絶対にない分野なので興味があるなら参考にしてみてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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