筋膜が原因の腰痛症を調べる方法と治し方について

筋膜と書くと小難しそうなイメージがあるかもしれませんが、調べる方法も治し方も非常に簡単なので心配いりません。

筋膜にはいくつかのラインが存在しますが、それを理解しなくても治療することはできます。(もちろん理解しているに越したことはないですけど)

まず筋膜が原因の腰痛症であるかを調べるには、立った状態から身体を前に倒していき、手を床面につけるように前屈していきます。

これで痛みが出るようなら身体の後方筋膜が傷ついている、または短縮しており、その影響で痛みが生じている可能性があります。

しかしながら、この時点ではまだ椎間板ヘルニアや椎間板症、筋性腰痛症なども考えられるため、さらなる鑑別が必要です。

ここでやっていただきたいのが、立位前屈時に足の指を曲げることで動きが変わるかどうかです。

もしも足の指をグッと握りしめただけで前屈距離が伸びるようなら、筋膜性腰痛症の可能性が高いです。

足の指以外でも、首を曲げるよりも反らすほうで可動性が上がるなら後方筋膜が原因となっていると推察されます。

ただし、首の場合は脊髄神経が伸張されやすく、神経の圧迫や短縮による可能性を除外できないため、どちらかというなら足の指のほうが信頼度は高いと考えています。

エピソードとしては、腰を痛める数日ほど前に重いものを持つ作業をしたなどの訴えが聞かれることが多いです。

ギックリ腰のようにその場では痛まないので訴えないケースもありますが、なにかしらで筋膜を損傷していることがほとんどだと思います。

そこから徐々に悪化、または痛みが治まらずに来院してくることが多く、比較的に若い年代(30歳前後)に頻発します。

おそらく、ほとんどのセラピストは体幹前屈動作で痛みが出るなら前屈動作を禁止し、後屈運動を実施するかと思います。

その考え方は椎間板ヘルニアや椎間板症に対しては良いのですが、筋膜性腰痛症に対しては全く効果が期待できません。

また、腰痛症の多くは腰椎牽引などの物理療法を実施しているかと思いますが、それもほとんど効かないと答えるはずです。(椎間板由来の痛みなら少しだけ楽になる)

それでは、どのように治療していくかと言いますと、竹井先生でお馴染みの筋膜リリースを用いていきます。

筋膜リリースと書くとまたまた小難しい感じに聞こえますが、要するに硬いところをゆっくりと伸ばし続けるだけです。

筋膜のどのあたりに損傷部位(または短縮部位)があるかは触診をしても正直わからないので、ここではあまり気にしなくてもよいです。

リハビリ方法は簡単で、先ほどの体幹前屈位の姿勢をできる範囲で伸ばし(やや痛いぐらい)、その状態を3分ほど持続するだけです。

筋膜は90秒以上は伸ばさないとほぐれてこないので、長めにやるというのがひとつのポイントになります。

もうひとつは、ある程度に伸びてきたら後半は首を前に曲げたり、曲げていた足の指を伸ばしたりして筋膜をより伸張させていきます。

この運動を定期的に実施することで徐々に筋膜がほぐれていき、前屈の可動性と疼痛が改善していきます。

とても簡単な方法なので、足の指を曲げるだけで可動域が変化する腰痛症の患者には是非とも試してみてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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