肘関節内側に起こる痛みの原因とリハビリテーションによる治療方法について解説していきます。
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①肘内側側副靭帯の損傷
肘関節の痛みは基本的に伸張ストレスが原因となって組織損傷を起こしている場合が多く、その代表が肘内側側副靭帯の損傷です。
肘の内側側副靭帯は、肘関節外反運動の制動に貢献しており、その他の靭帯とともに肘関節を安定させています。
肘の内側側副靭帯は主に投球動作で傷害されやすく、繰り返しのストレスが加わり続けることで微細損傷をきたします。
治療方法としては、オーバーユースが損傷の原因となっている場合が多いので、安静にて治癒が完了するのを待ちます。
また、外反ストレスは上腕骨内側上顆に付着する前腕屈筋群とともに負荷を受け止めているので、それらの筋肉を強化することも有用です。
具体的には、①橈側手根屈筋、②尺側手根屈筋、③円回内筋、④浅指屈筋、⑤長掌筋があります。
②前腕屈筋群の損傷
前述したように上腕骨内側上顆に付着する筋肉は5つあり、それらの筋肉に負担が集中することで炎症を起こします。
各筋肉で主力となる動作は異なりますので、どの動作で痛みが起こるかを評価することにより、原因の筋肉を特定可能です。
痛みの動作が前腕回内なら円回内筋、手関節橈屈なら橈側手根屈筋、手関節尺屈なら尺側手根屈筋、手指屈曲なら浅指屈筋となります。
長掌筋に関しては動作への貢献度が低いため、内側上顆炎の原因とはなりにくいので除外しても構いません。
治療方法としては、上腕骨内側上顆の炎症が沈静化するまで筋への負担をなくし、安静を保つことが大切です。
炎症が治まったら原因筋のストレッチや筋力訓練を実施し、負担のかかりにくい動作を指導するようにします。
③尺骨神経の圧迫(肘部管症候群)
肘関節付近にて尺骨神経が圧迫される部位として、①内側二頭筋溝、②肘部管、③尺側手根屈筋腱があります。
内側二頭筋溝は上腕三頭筋内側頭と上腕二頭筋の間隙で、筋肉の発達により上腕筋膜が肥厚することで圧迫リスクが高まります。
肘部管は尺骨神経溝と表層の滑車上肘靭帯の間隙で、靭帯が肥厚することにより圧迫リスクが高まります。
肘部管を通過した尺骨神経は尺側手根筋の深層を通過するため、尺側手根筋に過度な緊張が存在していると尺骨神経が圧迫されます。
肘関節で尺骨神経が圧迫を受けている場合は、上記の画像のように尺側の手首から指先まで感覚障害が起こります。
治療方法としては、圧迫の原因となっている筋肉を中心にリラクゼーションを図ります。
刺激によって症状の緩解が認められる場合は筋肉の影響が考えられるため、原因筋の使用をしばらく控えるように生活指導を行います。