メールで質問がきましたので、その内容と回答について記事にしてみます。
間違ってる部分や足りない部分もあるかと思いますので、ご意見をいただけると非常に有り難いです。メールの内容は以下になります。(一部改編して掲載)
”骨盤が後傾している患者の股関節を伸展させると、 |
股関節の伸展を制限しているのは股関節の内側に位置している長内転筋の過緊張(短縮)が原因で間違いないと思います。
長内転筋は表層に位置していますので、触診することで簡単に緊張を感じ取ることができるはずです。
【解説】長内転筋は股関節の内転と屈曲、股関節外転位での内旋に働く筋肉です。そのため、短縮することで股関節の外転と伸展を制限します。 |
大腿の内側には他にも大内転筋や短内転筋がありますが、大内転筋はむしろ股関節伸展に働く筋肉ですので突っ張り感は生じないはずです。
しかし実際は長内転筋と同じく短縮しやすい筋肉ですので、触診すると緊張が感じ取れるかと思います。しかし、こちらは制限の主犯ではありません。
【解説】大内転筋は股関節の内転と伸展、そして内旋に働く筋肉です。そのため、短縮することで股関節は外転と屈曲を制限します。 |
次に骨盤が後傾している理由ですが、大内転筋はその走行から考えてもあまり骨盤の傾きに関与しているとは考えられにくいです。
長内転筋はその走行から考えると短縮することで若干ですが骨盤は前傾方向に働くと予想されます。
しかし実際は、長内転筋が短縮しても骨盤は前傾方向に移動せず、大腿骨側を引き付けて股関節を屈曲方向に誘導します。
股関節が屈曲すると運動連鎖によって骨盤は後傾しますので、長内転筋は若干ですが伸張され、さらに緊張が増すといった悪循環に陥りやすいです。
骨盤が後傾した状態が続くと結果的に後傾させる筋肉(腹直筋やハムストリングなど)は短縮し、前傾させる筋肉(脊柱起立筋や腸腰筋など)は緩んでいきます。
そのため、内転筋群の緊張を取り除いて伸張性を高めておくことは、結果的に骨盤の後傾を防ぐためにも有効な手段となりえるはずです。