股関節外側の痛みの原因とリハビリ治療

股関節外側に起こる痛みの原因とリハビリテーションによる治療方法について解説していきます。

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①中殿筋・小殿筋の伸張痛

股関節外側の痛み|中殿筋の伸張痛1

変形性股関節症などで股関節に内転拘縮が存在すると、大腿骨の大転子に付着する中殿筋や小殿筋は伸張位となります。

その状態が持続すると筋肉の血流が乏しくなり、痛みを誘発することにつながります。

内転拘縮が原因であるため、ある程度に症状が進行した変形性股関節症の患者で訴えるケースが多いです。

治療方法としては、関節可動域運動や関節モビリゼーションを加えていき、拘縮を除去するようにアプローチしていきます。

また、股関節外転の筋力トレーニングを実施し、立位姿勢のアライメントを修正していきます。

②大腿筋膜張筋炎

大腿筋膜張筋|側面

大腿筋膜張筋は上前腸骨棘の外側から起始し、大転子の前方を通過して腸脛靭帯に移行します。

腸脛靭帯は膝関節の屈伸を繰り返すことで大腿骨外側上顆と擦れて、炎症を起こすことが多い部位になります。

大腿筋膜張筋は腸脛靭帯炎以外にも筋実質の障害にて痛みが生じる場合もあり、その多くは上前腸骨棘の下方で圧痛を認めます。

痛みは筋肉の走行に沿いながら大腿外側に起こり、大転子滑液包炎に似た症状を引き起こすので鑑別を要します。

治療方法としては、圧痛がある部位に持続圧迫を加えてトリガーポイントをリリースしていきます。

③大転子滑液包炎

大転子の表層には腸脛靭帯が通過しており、両者の摩擦を軽減するために滑液包というクッションが内在しています。

バスケットやバレーボールなどの跳躍動作が多いスポーツでは、しばしば大転子滑液包に炎症を起こし、股関節外側の痛みの原因となります。

滑液包が損傷して関節の動きのスムーズさがなくなると、股関節にはクリっと引っかかる感じの弾発現象が生じます。

これを弾発股と呼んでおり、大転子と腸脛靭帯とが股関節の動きによって音とともにずれることが原因で起こります。

治療方法としては、繰り返される機械的刺激が原因であるため、スポーツなどの活動は制限して安静を保ち、周囲筋のリラクゼーションを図ります。

④石灰沈着性腱炎

石灰沈着性腱炎とは、筋肉や腱に何らかの原因でリン酸カルシウム結晶(石灰)が沈着して炎症をきたした状態をいいます。

急性に発症しやすく、しばしば激痛で歩行が困難となります。

単純X線画像にて腱部に石灰化(白く写る)が認められるため、見落としがないように注意して確認します。

治療方法としては、炎症が落ち着くまでは石灰沈着のある筋肉への負担をなくし、安静を保つことが大切です。

強い痛みで生活に支障をきたしやすいため、局所へのステロイド注射や消炎鎮痛剤を使用することにより、痛みの軽減を図ります。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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