肩を動かしたときに痛い原因を解説

肩に痛みがある場合に、どこに原因があるのかを問診と簡単な動きの検査で特定していく方法について解説していきます。

まずは痛みが出るときの状況別に考えていきますが、おおまかに分類すると、①安静時、②夜間時、③運動時の3つに分けられます。

肩を動かさなくても痛いのは、肩周囲に強い炎症を起こしている状態を意味し、機械的刺激がなくても化学的刺激のみで痛みを起こしています。

寝ているときにのみ痛いのは、就寝時の姿勢が強く影響しており、周囲筋の緊張や癒着等にて虚血性疼痛を引き起こしています。

特定の動きをしたときに痛いのは、周囲組織のインピンジメント(挟み込み)や、組織の伸張といった機械的刺激で痛みを起こしています。

運動時痛は最も出現頻度が高いので、肩における運動時痛をさらに細かく簡易的に分類していくことも大切です。

肩関節の運動時痛を分類すると、①肩峰下インピンジメント、②関節内インピンジメント、③伸張痛の3つに分けられます。

肩峰下インピンジメントとは、肩を挙げるときに肩峰と上腕骨頭が衝突し、間に存在する組織が挟み込まれて痛みを起こします。

肩関節を60〜120度外転させたときに最も狭まるため、挙げる途中で強い痛みが起こり、挙げてしまうと痛みがなくなることが特徴です。

関節内インピンジメントとは、関節包を中心とした周囲組織の拘縮により、最終域で骨頭がブレることにより痛みが生じる現象です。

例えば、肩関節を水平内転させたときに肩関節前方に痛みが出る場合は、後方組織のタイトによって骨頭が前方に押し出されたと予測できます。

反対に肩関節後方に痛みが出る場合は、後方組織が引き伸ばされて痛みが起きていると予想できるわけです。

もしも治療において短縮した組織をストレッチングするときは、関節内インピンジメントによる痛みを起こさないように注意します。

おおまかに肩の痛みを分類すると以上になりますが、これらのことを意識するだけでも問題点の絞り込みの早さと精度が上がるはずです。

また、肩関節の関節包は後方が拘縮しやすいことや、硬くなりやすい筋肉などを知っておくことも非常に有意義となります。

先入観を持ったり、型にはまった治療を提供することに対して否定的なセラピストもいますが、まずはコンスタントに結果を出すことが大事です。

そのためにも、問診の段階で問題点の絞り込みと原因をある程度に予想できる能力を磨いていくようにしていってください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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