肩関節の回旋可動域を1st・2nd・3rdのポジションで測定する理由

肩関節の回旋可動域を測定するうえで、3つのポジションで動きを診ていく必要があります。

それぞれの肢位でどの筋肉が伸張され、収縮するのかについて解説していきます。

ファースト・ポジション

まずはファースト・ポジション(1st)ですが、この肢位は上腕骨下垂位・肘関節屈曲90度を指します。

1stでの外旋運動では主に棘下筋上部線維が、内旋運動では肩甲下筋上部線維が活躍します。

外旋運動に関節可動域制限が認められる場合は肩甲下筋上部線維や大胸筋上部線維の短縮が、内旋運動に制限が認められる場合は棘下筋上部線維の攣縮が考えられます。

肩甲下筋上部線維は触診が困難な部位ですので、1stでの動きをみることで緊張の状態を確認していきます。

セカンド・ポジション

次にセカンド・ポジション(2nd)ですが、この肢位は肩関節外転90度・肘関節屈曲位90度を指します。

2ndでの外旋運動では主に棘下筋下部線維が、内旋運動では肩甲下筋下部線維が活躍します。

外旋運動に関節可動域制限が認められる場合は肩甲下筋下部線維や大胸筋下部線維の短縮が、内旋運動に制限が認められる場合は棘下筋下部線維の攣縮が考えられます。

サード・ポジション

最後にサード・ポジション(3rd)ですが、この肢位は肩関節屈曲90度・肘関節屈曲位90度を指します。

3rdでの外旋運動では主に小円筋が、内旋運動では大円筋や広背筋が活躍します。

外旋運動に関節可動域制限が認められる場合は大円筋や広背筋の短縮が、内旋運動に制限が認められる場合は小円筋の攣縮が考えられます。

おわりに

ここでは各ポジションにおける収縮性組織(筋肉)の影響を中心に述べましたが、実際は筋肉以外にも非収縮性組織(関節包や靭帯)の影響が混在しています。

とくに内旋運動の制限では後方関節包の短縮が、外旋運動の制限では前方関節包・烏口上腕靭帯・関節上腕靭帯の短縮が考えられます。

非収縮性組織による制限は筋肉の攣縮と比較して制限が軽度であるため、そのことを考慮したうえで筋肉の緊張を確認し、総合的に短縮の存在を予測してください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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