肩関節周囲炎は別名で五十肩や四十肩、癒着性関節包炎とも呼ばれ、一様な経過をたどる良性で非依存性の疾患です。
ここでは疾患の詳細は省きますが、詳しく知りたい方は「肩関節周囲炎のリハビリ治療」という記事をご覧ください。
肩関節周囲炎では、炎症を起こしている組織が刺激を避けるために疼痛閾値を下げ、周囲筋を防御的に収縮させてしまいます。
そのため、あらゆる箇所に圧痛を認めることになりますが、そこには一定の傾向が存在しているので覚えておくと重宝します。
問題を起こしやすい筋肉としては、①烏口腕筋、②大円筋、③小円筋、④棘下筋、⑤菱形筋、⑥肩甲挙筋などがあります。
とくに重要なのが①〜③の筋肉であり、ほとんどの肩関節周囲炎で圧痛が認められますので、必ず過剰な緊張は取り除くようにしてください。
まずは烏口腕筋ですが、肩関節周囲炎の90%以上に烏口突起の圧痛が認められ、その多くに関与している筋肉です。
起始部にちかい部分で圧痛が強いため、背臥位にて痛みが強い部分を中心にマッサージしていくといいです。
大円筋の圧痛点は起始部の肩甲骨下角に出現しやすいため、側臥位にて母指を押圧することで痛みを誘発できます。
肩関節後方に関連痛が認められるので、痛みが波及するかも確認しながら施術するようにしてください。
小円筋の圧痛点は筋線維の中央に出現しやすいため、側臥位にて母指を押圧することで痛みを誘発できます。
小円筋は健常者でも全周性に圧痛が認められやすいことから、疼痛の強度についても確認しておくことが大切です。
棘下筋は上部線維(横走線維)と下部線維(斜走線維)に分けられますが、肩関節周囲炎では後者に問題を起こしやすいです。
圧痛点は肩甲骨内側の下方に認められやすく、関連痛は菱形筋に引き起こすことがあります。
菱形筋の圧痛点は停止部の肩甲骨内側縁下部に出現しやすいため、背中に痛みを訴える場合は確認してみてください。
肩甲挙筋は肩こりの原因となりやすい筋肉であり、健常者でも非常に圧痛が認められることが多いです。
以上に解説してきた6つの筋肉は、肩関節周囲炎で問題を起こしやすい筋肉であるため、必ず触診をして圧痛を確認してください。
過度に緊張しているようならリラクゼーションを図り、少しでも痛みが楽になるように整えることが重要です。