肺(lung)は、左右に1つずつ存在しており、合計で2つあります。
胸腔にスッポリとはまり込むように位置しており、心臓がやや左に存在するため、左肺は右肺よりも若干小さくなっています。
肺の役割は呼吸ですが、具体的には酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出すことにあります。
上の写真をみると、肺は横隔膜の上に乗っかるような構造となっていることがわかります。
横隔膜が収縮すると胸腔が拡大し、容積が増えるために胸腔内圧が下がり、それに伴って肺に空気が取り込まれます。
その一方で、下部の腹腔は狭小し、容積が減るために腹腔内圧(腹圧)が上がり、排尿や排便などを補助します。
右肺は左肺よりも大きいと書きましたが、そのために右肺は上葉、中葉、下葉の三葉がありますが、左肺は上葉と下葉の二葉しかありません。
重さも成人の右肺は500〜600gなのに対して、左肺は400〜500gほどです。
肺の中には、肺動脈と肺静脈、気管支が張り巡らされています。
静脈を青いという思い込みから、1を肺静脈と勘違いしがちですが、肺には酸素を失った血液が流れてくることになります。
そのため、肺に血液を送り込む動脈は青くなっており、肺から出てくる静脈は赤くなっています。
気管支は枝分かれを繰り返しながら徐々に細くなっていき、直径が1㎜以下になると細気管支と呼ばれるようになります。
細気管支の末端には肺胞が存在しており、肺胞には肺細動脈と肺細静脈が付着しています。
肺胞では、肺動脈から流れてきた静脈血から二酸化炭素を取り込み、肺胞に存在する酸素を赤血球に渡します。
そうすることで肺静脈には酸素を多く含んだ動脈血が流れることになり、その血液を心臓に渡してからポンプ作用で全身に送られます。
肺の関連痛は、頸部から肩近位にかけて出現し、稀にですが肩こりの原因が肺ガンである場合もあります。
支配神経は、T1〜T5から出る交感神経系と迷走神経になります。
肺の関連痛が頸部に出現する理由として、肺が気管と直接的に連結していることが大きいです。
下肺部に問題がある場合は、左右の第3〜4肋間隙に、上背部に問題がある場合は、第4〜5肋間隙に圧痛点が生じます。
気管支に問題がある場合は、第2〜3肋間隙に圧痛点が生じ、これらは背部においても同様に圧痛点が存在しています。