胃(stomach)は、みぞおちから左上腹部にかけて位置しており、上方に肝臓が、下方に横行結腸が存在しています。
食べたものは食道を通して胃に運ばれていき、そこで一時的に貯留してから、少しずつ十二指腸に送り込まれています。
胃には胃酸と呼ばれる消化液が存在しており、これによってタンパク質の消化と内容物の殺菌が行われています。
胃は「J」の形をした袋状の器官であり、その内容量は1.4リットルほどです。
胃の壁には縦走筋と輪状筋、斜走筋の層が存在し、強い蠕動運動によって、内容物が十二指腸に押し出されています。
胃の関連痛は、前面では鳩尾(みぞおち)に、後面では左右の肩甲骨下の中間あたりに現れます。
胃はみぞおちから左上腹部に存在していますが、痛みが起きるのは正中部あたりになります。
支配神経は、T6〜9から出て大内臓神経と小内臓神経を経由する交感神経系と迷走神経になります。
脊髄の皮膚知覚(デルマトーム)で確認してみると、関連痛がT6〜9の領域に出現していることがわかります。
肝臓の場合は、右側に位置するために関連痛も右に出現しますが、胃に関しては両側から神経支配を均等に受けていると推察されます。
胃に問題がある場合は、左第5〜6肋間隙または左第6〜7肋間隙に圧痛点が生じます。
後面にも出現する場合があり、その際は左側のT5〜6の横突起の間、棘突起と横突起の尖端の中間に生じます。
これは胃が左寄りに位置していることが影響しており、対をなすようにして右側には肝臓の圧痛点が存在しています。
この部位はそのまま治療手技に用いることができ、胃に障害がある場合は非常に敏感となっています。
なので、指1本で軽い圧をかけながら、ゆっくりと回転させるようにしながらアプローチしていきます。