胆嚢(gall bladder)は、右上腹部に位置する消化器系の器官で、上方は肝臓に覆われています。
胆嚢の長さは約10㎝、幅は約4㎝、容量は40〜60mlほどです。
胆嚢には、肝臓で作られた胆汁が凝縮された状態で入っており、胆汁を少しずつ小腸(十二指腸)に送っています。
上の写真を見ていただくとわかりやすいですが、胆嚢から排出された胆汁は胆嚢管を通過し、総肝管と合流して総胆管となります。
さらに総胆管は膵管と合流し、大十二指腸乳頭という穴を通して、十二指腸に流れることになります。
胆汁には、胆汁酸やビリルビン、コレステロール、リン脂質が含まれており、消化酵素は含まれません。
主な役割は脂質の吸収を助ける作用になります。
胆嚢で最も問題となりやすいのが胆石で、胆石は胆汁の成分が何らかの原因で石のように固まってしまったものをいいます。
胆石が動くと、みぞおちから右肩にひびく激痛が起こったり、発熱や吐き気、嘔吐、黄疸などが起こります。
胆石以外にも、胆嚢に細菌が入り込んで炎症を起こし、胆石のような症状を発症する場合もあります。
胆嚢の関連痛は、前面では右腹部に、後面では右腰部に限局して現れることが多いです。
支配神経は、T7〜T10から出て大内臓神経と小内臓神経を経由する交感神経系と迷走神経、横隔神経知覚枝になります。
横隔神経はC3〜5から構成されているため、右肩に響くような感覚が出現するのだと考えられます。
胆嚢の障害を疑う症状としては、①マーフィー徴候が陽性、②右上腹部の疝痛、③黄疸の出現などがあります。
マーフィー徴候とは、右肋骨下から胆嚢に向けて指を押し込んでいき、その状態で息を吸ってもらうと痛みが出る(増す)症状です。
疝痛とは、発作的に起こる腹部の激しい痛みのことで、内臓由来の痛みで起こる特徴的な症状になります。
黄疸は胆汁に含まれるビリルビンが、何らかの理由で血液中に増加した状態で、肝炎や肝硬変の可能性が疑われます。
胆嚢の関連痛に加えて、これらの障害が存在する場合は、必ず病院を受診してください。