主訴は胸椎伸展時(子供を抱っこしたとき)の痛みで、疼痛部位は背部の症例について考察します。
この記事の目次はコチラ
症例情報
基本情報 | 30代女性 |
運動時痛 | 胸椎伸展時 |
疼痛部位 | 背部、圧痛あり |
姿勢分類 | フラットバック |
力学的推論
フラットバック姿勢で胸椎伸展のモビリティが非常に高い。
脊椎は胸椎を主体に伸展しているため、胸部脊柱起立筋は常に緊張を強いられており、疲労しやすくなっている。
出産を機に子供を抱っこする機会が多くなっており、背部筋へのストレスも増えていることが予測される。
組織学的推論
背部を中心に触診していくと、第4/5胸椎間の靱帯上に強い圧痛を認め、深筋膜の滑走障害を指で捉えることができる。
高密度化がある部位に筋膜マニピュレーションを加えることで、即時に胸椎伸展時痛は消失。
治療についての考察
筋膜マニピュレーションによって疼痛を軽減させることは可能だが、同じような身体の使い方を繰り返すことで再発の可能性は非常に高い。
そのため、胸椎屈曲のモビリティを高める運動を実施し、背部筋膜をストレッチするように指導した。
拮抗筋(胸部腹側の筋肉)を鍛えることで胸部脊柱起立筋は緩むので、疲労している筋肉の拮抗筋(サボっていた筋肉)を鍛えることは有用と考えられる。
フラットバックでは、腰椎伸展のモビリティが低下し、代償的に胸椎伸展のモビリティが高くなっていることも推察される。
必要に応じて腰椎の伸展運動を実施し、総合的に身体の使い方について指導していくことが大切となる。