腰を曲げるとお尻から腰にかけて痛みが出る人は多いですが、それには大腰筋と後方筋膜の硬さが影響していることが多々あります。
その理由と検査方法について、ここではわかりやすく解説していきます。
まずは大腰筋が硬いとどうなるかですが、立位時に大腰筋が過度に緊張してしまい、腰椎前弯が増強した姿勢をとります。
お尻は後方にプリッと突出した状態となり、いわゆる反り腰となります。
実はわたしもこのタイプに属しているのですが、まったく誰からも指摘されることがなかったので、大人になるまでわかりませんでした。
最初に気付いたときは結構な衝撃で、鏡に映った自分の姿をみて、こんなに姿勢が悪いのかと落ち込んだほどです。
そのときはどこが原因かもよくわからなかったので、お腹をへこませるようにしながら姿勢を整えていました。
そこから勉強していくうちに「大腰筋の硬さ」に原因があることに気づき、自分でどのようにしてほぐしていくかを考えるようになりました。
そのためには、まずは大腰筋に触れる必要があるのですが、方法としては、腹直筋の外側から親指を深部内側に向けて押し込んでいきます。
大腰筋が硬い人は強い圧痛がありますし、触れたときにコリコリとした感触が指に伝わってくるはずです。
緊張をゆるめたい場合は、そのまま指を上下に動かしながらマッサージをしていき、圧痛が消失するまで続けます。
この方法は患者に施すときはいいのですが、在宅メニューとして、ひとりでやってもらうには刺激量が足りません。
そのため、わたしが指導している方法は、うつ伏せになった状態でお腹に丸めたバスタオルを敷いてもらいます。
その上に握りこぶしを置いて、大腰筋に圧迫が加わるようにしながら体重をかけていきます。
握りこぶしの上に、痛みがある部分が当たるように調整することで、ほとんどの場合は筋肉をゆるめることができます。
腰痛の主な原因が大腰筋である場合は、この運動を実施することで、体幹前屈時の腰椎屈曲の可動域増加と疼痛軽減を認めます。
腰を曲げた際の痛みで、もうひとつ問題となりやすい部分が後方筋膜(スーパーフィシャル・バック・ライン)です。
この中でもアキレス腱や仙結節靭帯、脊柱起立筋などは硬くなりやすく、触れると滑りの悪さや圧痛を認めます。
腰痛を訴える人の多くに後方筋膜の障害が存在していますので、このラインの硬さだけは必ずチェックしておいたほうがいいです。
治療方法としては、ライン上で圧痛や硬さが強い箇所に対して、母指やナックルで圧迫を加えながら、上下にマッサージしていきます。
2〜3分ほど実施すると筋膜の滑りがよくなってくるので、そこで患者に痛みの程度を尋ねたら半分以下になってるはずです。
自主的にほぐすのは場所によっては難しいところもありますが、筋膜ローラーを用いてグリグリとやっていただいても構いません。
十分にほぐすことができたら、体幹前屈の運動を実施してもらい、後方筋膜のストレッチを行うようにします。
ここまでに腰を曲げた際に痛みがある場合の原因組織と治療法について書いてきましたが、もちろんこれ以外にも原因は存在します。
例えば、椎間板が損傷しているためにわざと後方筋膜を硬くして、そのレベルの椎間関節の屈曲を制限していることもあります。
その場合は筋膜を緩めると腰椎が不安定となってしまい、かえって痛みを増悪させてしまうリスクにもなります。
このことを考慮しながら、どうして硬くなっているのかの原因を必ず考えるようにし、必要に応じてアプローチしていってください。