腰痛は徒手的にマッサージしても治らないとよく言われますけど、正しいポイントさえ押さえることができたら効果は発揮します。
そのためには正確に問題がある部位を見つけ出すことが大事で、そこを重点的にほぐしていくことが求められるわけです。
適当に腰部全体をマッサージしたとしても、一時的に血流が良くなって痛みは楽になりますが、その効果は数時間も続きません。
うまく問題がある部分に当たったとしても、そこに時間をかけて丁寧に施術しない限りは、翌日には元に戻ってしまうことになります。
障害部位は最低でも2〜3分ぐらいは集中的にほぐしていかないと根本的な改善は生まれないので、やや強めの刺激が必要です。
ここからは具体的な治療点について説明していきますが、まずは第1腰椎の外側に位置する脊柱起立筋の隆起点です。
脊柱起立筋は8つの筋肉から構成されている総称ですが、その中の胸最長筋と腰腸肋筋が腰痛治療では重要となります。
写真をみていただくとわかりやすいですが、これらの筋肉は第1腰椎レベルで腱に移行しており、色も赤から白に変化しています。
筋腱移行部というのは筋肉の中で最も問題を起こしやすい部分であり、脊柱起立筋ではまさにここが治療点となりやすいです。
疼痛は腰部下方の第4腰椎レベルに出現し、体幹を前屈(筋肉を伸張)や後屈(筋肉が収縮)させることが痛みが誘発されます。
治療では患者に腹臥位をとっていただき、施術者は肘を用いて圧痛点を見つけ出し、ほぐれるまでマッサージを加えていきます。
第1腰椎を見つけるためには、第12胸椎は肋骨が付着しているのでわかりやすいため、そのすぐ下方の棘突起に触れるとわかりやすいです。
表層には広背筋や下後鋸筋が存在していますが、分厚い筋肉ではありませんので、あまり気にしなくても良いです。
次の治療点は第4腰椎と第5腰椎の外側に位置する腸腰靭帯で、この靭帯は下部腰椎の動きを補強しています。
腸腰靭帯は多裂筋や腰方形筋とも接しているため、しばしば癒着を起こしやすく、これらの筋肉の機能不全を起こします。
疼痛は仙腸関節の領域に現れやすく、これには多裂筋の収縮不全などが影響していることが推察されます。
治療では患者に腹臥位をとっていただき、施術者は第5腰椎と上後腸骨棘の間に肘を置き、ほぐれるまでマッサージを加えていきます。
表層には脊柱起立筋や多裂筋が存在しており、多裂筋は硬くなっている場合も多いので、ゆっくりと深く押圧していくようにしてください。
最後の治療点は仙結節靭帯で、この靭帯からは大殿筋とハムストリングが起始しているため、これらの筋肉に問題を引き起こします。
疼痛は大殿筋への影響が強い場合は殿部に、ハムストリングスへの影響が強い場合は大腿後面にかけて拡がります。
治療では患者に腹臥位をとっていただき、施術者は坐骨結節に母指を置き、ほぐれるまでマッサージを加えていきます。
表層には人体で最大の単一筋である大殿筋が存在していますが、寝ているときは緩んでいるので問題なくアプローチできるはずです。
ここまでに代表的な腰痛に効くツボ(治療点)を解説してきましたが、これは後方筋膜に属するものだけを挙げています。
他にも筋膜由来の治療点は存在していますし、そもそも腰痛が筋膜由来のものでないかもしれませんので十分に検査してから用いてください。