肩の痛みを起こしている原因で腱板損傷は非常に多く、肩関節外転や外旋運動に対して徒手抵抗を加えると疼痛や筋力低下が認められます。
しかし、実際にMRIを撮影しても損傷が見つからないこともあり、どうして痛みや筋出力が低下しているのか謎だったりします。
そんな疑問にひとつの見解を書くと、表層筋の収縮を抑えることができたら、疼痛が緩和して筋出力のアップが期待できます。
例えば、肩関節内旋運動に徒手抵抗を加えて疼痛が出現する場合は、肩甲下筋の停止部表層に位置する三角筋前部が治療対象となります。
具体的な治療法としては、三角筋前部を指先で挟むようにして、深部組織としっかり分離するようにしてリリースします。
そしたら再度、肩関節内旋運動に徒手抵抗を加えて痛みの有無を確認し、それで痛みが軽減しているようなら反復運動を実施していきます。
これは肩甲下筋の出力を改善させることが目的であり、表層の三角筋前部と分離させて滑走性を高めるイメージで行うと効果的です。
次いで、肩関節外旋運動に徒手抵抗を加えて疼痛が出現する場合は、棘下筋の停止部表層に位置する三角筋後部が治療対象となります。
リリースの方法は前述したものと同様であり、効果判定も再度運動を実施することで確認することが可能です。
最後に、肩関節外転運動に徒手抵抗を加えて疼痛が出現する場合は、棘上筋停止部表層の三角筋中部に加えて、僧帽筋上部も治療対象となります。
リリースの方法は同様に三角筋中部を分離させるイメージで行い、それで改善しないようなら僧帽筋上部も掴んで引き剥がします。
これらを実施すると徒手抵抗に対する疼痛が軽減または消失し、腱板構成筋の出力が即時に改善できることが多いです。
基本的に表層筋は瞬発力に優れた速筋線維(白筋線維)が主であり、普段から緊張している状態というのはよくありません。
普段は、持久力に優れた深層筋を使用している状態が理想で、そのためには表層筋と深層筋が分離して滑走できる必要があるわけです。
トレーナーたちが「一流のアスリートは筋肉が非常に柔らかい」と言ったりしますが、これは表層筋が無駄な緊張をしてないためです。
例えば、野球ならボールを打つ瞬間に必要なパワーを瞬発的に発揮できるようにしており、それが柔軟な動きと強い力を実現しているわけです。
そのことを考えると、触れたら筋肉がガチガチというのはやはり異常であり、無駄な緊張が入らないように調整することが大切です。