膝蓋靱帯と膝蓋支帯

この記事では、膝蓋靱帯(patellar-ligament)と膝蓋支帯(patellar retinaaculum)について解説していきます。

膝蓋靱帯と支帯の概要

膝蓋靱帯は大腿四頭筋腱の続きであり、膝蓋腱とも呼ばれます。

膝蓋靱帯は、大腿四頭筋の強力な収縮力を膝蓋骨を介して脛骨へと伝える張力伝達装置の役割があります。

膝蓋支帯は膝蓋靱帯の両側に停止しており、内側膝蓋支帯は内側広筋から、外側膝蓋支帯は外側広筋および腸脛靭帯から起始しています。

膝蓋靱帯の基本データ

項目

内容

起始 大腿四頭筋腱
停止 脛骨粗面
緊張肢位 膝関節屈曲
弛緩肢位 膝関節伸展

内側膝蓋支帯の基本データ

項目

内容

起始 内側広筋
停止 脛骨の内側上端、膝蓋骨内縁、内側側副靱帯
緊張肢位 内側広筋の緊張増大
弛緩肢位 内側広筋の緊張低下

外側膝蓋支帯の基本データ

項目

内容

起始 外側広筋、腸脛靭帯
停止 脛骨の外側上端、膝蓋骨外縁
緊張肢位 外側広筋や腸脛靭帯の緊張増大
弛緩肢位 外側広筋や腸脛靭帯の緊張低下

関連する疾患

  • 膝関節拘縮
  • 膝蓋靱帯炎
  • 前十字靱帯損傷
  • 膝蓋骨不安定症(膝蓋骨脱臼)
  • 膝蓋骨低位 etc.

膝関節拘縮

下肢の外側が硬くなりやすいタイプでは、腸脛靭帯や外側広筋の緊張増大により、外側膝蓋支帯がタイトになっています。

そうすると膝蓋骨が外側変位し、膝蓋大腿関節症や膝蓋骨不安定症(膝蓋骨外側脱臼)をきたしやすくなります。

膝蓋大腿関節症は膝蓋下脂肪体へのストレスを高め、膝関節痛や膝関節伸展制限を引き起こします。

膝関節伸展制限(屈曲拘縮)は立位や歩行時の大腿四頭筋(特に中間広筋や外側広筋)の緊張を高め、膝関節拘縮をより悪化させていきます。

膝蓋骨低位

膝蓋骨低位(patella baja)の症例では、膝蓋靱帯または膝蓋支帯の拘縮が原因のひとつとなります。

判定方法としては、膝関節側面のX線写真にて、「膝蓋腱長/膝蓋骨長径比」が0.8以下の場合に膝蓋骨低位と判断されます。

1.2以上の場合は膝蓋骨高位となり、大腿四頭筋の拘縮が疑われます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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