膝裏の痛みで跛行がある症例

80代の女性で歩行時に膝裏(膝窩部)の強い痛みがあり、膝を伸ばしたまま歩く症例の治療について記載します。

膝窩部痛の原因となりやすい疼痛誘発組織は、①膝窩部の筋膜(浅筋膜・深筋膜)、②ハムストリングスになります。

筋膜の問題を調べる方法としては、患者にうつ伏せをとってもらい、施術者は膝窩部の皮下組織を指で滑走させるように動かします。

その際に動きが乏しい部分を見つけたら、指先でマッサージするようにしながら滑走性を改善させていきます。

浅筋膜や深筋膜は全身をボディースーツのように覆っているため、離れた部位に滑走不全が存在すると、その影響をダイレクトに受けます。

外来リハビリでは全身の筋膜をチェックしていくことは時間的に厳しいので、連結している筋肉や同一の運動方向にある部位を中心にチェックします。

膝窩部の場合は身体の後方組織を中心に硬さを確認しますが、今回のケースでは、アキレス腱周囲に滑走不全が存在しており、同時に足関節の背屈制限をきたしていました。

アキレス腱周囲の筋膜をリリースすることで背屈制限が改善されたので、そこから緊張が入らないように膝関節と足関節のROMexを実施しました。

この2箇所にアプローチすることで跛行が軽減し、膝関節を曲げて歩くことができるまでに改善できました。

アキレス腱周囲や脛骨内側縁の骨膜上の皮下組織は滑走不全が発生しやすいので、このあたりをリリースすることで良くなるケースは多いです。

なので膝窩部痛を訴える患者では、是非ともチェックしてみてください。


他の記事も読んでみる

The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
rehatora.net © 2016 Frontier Theme