膝関節を評価していくためのポイントを写真付きでわかりやすく解説しています。あらかじめにどこを診るかを決めておくことで、スムーズに全体像を把握することができるようになります。
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膝関節前面の触診
膝関節は圧痛点が非常に多いので、どこが痛むかをしっかりと聴取して原因組織を評価することが大切です。
大腿四頭筋は膝蓋骨上縁に付着し、膝蓋靭帯に移行して脛骨を下行し、脛骨粗面に停止します。そのため、膝蓋骨上縁の圧痛は大腿四頭筋腱障害、膝蓋骨下部は膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)、脛骨粗面はオスグッド病(後遺症を含む)の可能性があります。
膝蓋骨内側部に圧痛が認められる場合がありますが、ここは膝蓋ヒダの引っかかりが起こる部位であり、内側膝蓋ヒダ障害と呼ばれます。
脛骨内側上部では膝関節の屈曲伸展を繰り返す運動で内側側副靭帯と鵞足が擦れて炎症を起こしている場合があり、その状態を鵞足炎と呼びます。
また、大腿骨内側上顆では腸脛靭帯と擦れて炎症が起きている場合があり、その状態を腸脛靭帯炎(ランナー膝)といいます。
大腿脛骨角(FTA)についても大まかに視診で確認しておき、O脚(内反膝)やX脚(外反膝)の有無についても評価します。
膝関節内側の触診
膝関節内側では内側側副靭帯に圧痛がないか、外反ストレスに対する動揺性がないかを確認していきます。
外反ストレステストは膝関節伸展位、30度屈曲位で実施します。伸展位では関節包による制動の影響もあるため、伸展位で動揺がある場合は重度の不安定症と判断できます。
30度屈曲位では関節包が緩むため、内側側副靭帯の緩みをより選択的に確認することができます。
内側側副靭帯の後方では内側半月板に触れやすい部位がありますので、深く押圧することでストレスをかけることができ、内側半月板損傷の有無を評価できます。
膝関節外側の触診
膝関節外側では外側側副靭帯に圧痛がないか、内反ストレスに対する動揺性がないかを確認していきます。
内反ストレステストは膝関節伸展位、30度屈曲位で実施します。伸展位では関節包による制動の影響もあるため、伸展位で動揺がある場合は重度の不安定症と判断できます。
30度屈曲位では関節包が緩むため、外側側副靭帯の緩みをより選択的に確認することができます。
内側半月板は内側側副靱帯の後方にストレスをかけましたが、外側半月板は外側側副靭帯の前方(腸脛靭帯の深層)でストレスをかけられるので、場所に注意しながら深く押圧を加えていきます。
各種のストレステスト
内外反のストレステストは前述しましたが、それに加えて脛骨の前方引き出し(屈曲30度,90度)、後方引き出し(屈曲90度)といったストレステストを加えて膝前・後十字靱帯の状態も確認します。
内側半月板に負荷をかけるテストとして、内側半月板を圧迫した状態で下腿を外旋させ、膝関節屈曲位からの伸展運動にてクリック音や痛みの有無をみます。
外側半月板に負荷をかけるテストとして、外側半月板を圧迫した状態で下腿を内旋させ、膝関節に外反ストレスをかけ、膝関節屈曲位からの伸展運動にてクリック音や痛みの有無をみます。
膝蓋骨の滑りの状態についても評価しておき、膝関節伸展位でスムーズに動くかを確認します。膝蓋骨に不安定性がある場合は、外方へ誘導していくことで脱臼感を訴えます。