整形外科の外来リハビリで担当することが多い膝関節痛の原因は、①筋・筋膜性膝痛、②膝蓋下脂肪体の2つです。
これらの疼痛を評価・治療していくうえで、ぜひとも知っておいてほしいことを簡単にですが記載していきます。
筋・筋膜性膝痛を発生する多くのヒトに大腿内側のタイトがあり、DFL(ディープ・フロント・ライン)に緊張を認めます。
DFLには股関節内転筋群が属していますが、広筋内転筋腱板から起始している内側広筋も同時に緊張状態となります。
そうすると膝関節は「knee-in」しやすくなり、さらに内側膝蓋支帯は硬く、膝蓋骨は外下方へのモビリティが低下することにつながります。
そのため、治療では内側広筋や股関節内転筋群のリリース、膝蓋骨のモビライゼーションを実施していきます。
次に膝蓋下脂肪体が痛みの原因となりやすいタイプですが、そちらはSBL(スーパーフィシャル・バック・ライン)が硬い傾向にあります。
SBLの中でも大腿二頭筋が硬くなりやすく、隣接する腸脛靭帯や外側広筋、外側膝蓋支帯といった大腿外側の組織がタイトになります。
そのために膝蓋骨は外下方へのモビリティが低下し、膝蓋大腿関節症を引き起こすことにつながります。
このことから、治療では大腿二頭筋や外側広筋のリリース、膝蓋骨のモビライゼーションを実施していきます。
臨床では、ここで述べた2つの膝関節障害を鑑別できるようにし、そこさえ押さえられたら多くの膝痛に対応できるはずです。
腰痛や肩痛に関しても同様であり、どちらかに偏ってしまうことで痛みを引き起こすので、まずは身体の傾向を分類することは非常に大切です。
簡単ではありますが、是非とも明日からの臨床に役立ててみてください。