膝関節筋と膝蓋上包

膝関節筋に関するデータをここでは閲覧できます。目次は以下になります。

膝関節筋の概要

膝関節筋は大腿四頭筋の深層に存在している小さな筋肉で、中間広筋の中央部深側から分岐しています。

膝蓋骨に付着する筋線維束を中間広筋、膝蓋上包に付着する筋線維束を膝関節筋と考えると理解しやすいです。

膝関節筋の役割としては、膝関節伸展時に膝蓋上包を引っ張ることにより、滑膜が膝蓋骨と大腿骨の間に挟み込まれるのを防いでいます。

 1.前方から見た膝関節筋
膝関節筋
 2.側方から見た膝関節筋
膝関節筋側面
 3.後方から見た膝関節筋
膝関節の裏側
支配神経 大腿神経
髄節 L2-4
起始 大腿骨骨幹下部の前面(大腿四頭筋の中間広筋の中央部深側から分岐する)
停止 膝蓋上包
栄養血管 大腿動脈
動作 膝関節の伸展

膝蓋上包の構造について

膝関節筋と膝蓋上包1

膝蓋上包の浅層には大腿四頭筋腱が、深層には膝蓋上脂肪体が位置しています。

膝蓋上包は前後方向に膜が存在していますが、膝関節を深く曲げた際は後方がキャタピラのように前方に移動していきます。

そのため、後方の膜はなくなった状態となり、前方が伸びて膝を曲げることができるようになります。

膝関節屈曲と膝蓋上包

膝関節の炎症などで膝蓋上包が癒着すると、キャタピラのように移動することができないため、重度の屈曲制限をきたすことになります。

関節に水が溜まると膝が曲がらなくなるのは、膝蓋上包内が滑液で充満し、膜が押し広げられて長さが足りなくなるためです。

癒着の予防や剥離操作としては、大腿四頭筋を指で掴んで持ち上げるようにし、大腿骨と引き離すことが有効です。

膝関節筋と膝蓋上包

膝蓋上包は拘縮だけでなく膝前面痛の原因ともなるので、膝蓋骨の上方に痛みを訴える場合は圧痛を確認するようにしてください。

圧痛がなくても、膝関節筋の収縮不全によって膝関節伸展時に膝蓋上包を引っ張ることができず、滑膜のインピンジメントを起こします。

膝関節筋の収縮を引き出すためには、膝蓋骨周囲組織の癒着を剥離し、伸展制限も解除しておくことが重要です。

その状態から大腿四頭筋セッティングを実施し、膝蓋骨を上方に引き上げることで収縮を促通することが可能となります。

術後や外傷などで膝関節に炎症が存在する場合は、癒着が進行しやすいので自主エクササイズとしても必ず指導しておきます。

それが結果的には消炎後の癒着や拘縮の防止につながるので、正しい大腿四頭筋セッティングの方法を覚えていただくことが大切です。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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