【介護保険】認知症行動・心理症状緊急対応加算の算定要件(老健)

介護老人保健施設において、認知症行動・心理症状緊急対応加算を算定する要件について掲載しています。また、原文のあとに簡単に解説していきます。

認知症行動・心理症状緊急対応加算の単位(老健)

報酬項目 単位
認知症行動・心理症状緊急対応加算 200

加算の算定要件

5の(28)を準用する。
【解釈】5の(28)については以下に記載する。

5の(28)

①「認知症の行動・心理症状」とは、認知症による認知機能の障害に伴う、妄想・幻覚・興奮・暴言等の症状を指すものである。
【解釈】いわゆるBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)のことで、介護負担を高めてしまう重要な症状となる。その症状や対応方法についてはコチラの記事で解説する。
②本加算は、在宅で療養を行っている利用者に「認知症の行動・心理症状」が認められた際に、介護老人福祉施設に一時的に入所することにより、当該利用者の在宅での療養が継続されることを評価するものである。
【解釈】BPSDは正しい対応をとることでコントロールが可能な症状であるため、評価と共に家族などへの対応を指導することも重要である。
③本加算は、在宅で療養を行っている要介護被保険者に「認知症の行動・心理症状」が認められ、緊急に介護老人福祉施設への入所が必要であると医師が判断した場合であって、介護支援専門員、受け入れ施設の職員と連携し、利用者又は家族の同意の上、当該施設に入所した場合に算定することができる。本加算は医師が判断した当該日又はその次の日に利用を開始した場合に限り算定できるものとする。この際、当該施設への入所ではなく、医療機関における対応が必要であると判断される場合にあっては、速やかに適当な医療機関の紹介、情報提供を行うことにより、適切な医療が受けられるように取り計らう必要がある。
【解釈】単位を加算するためには医師が判断した日か次の日までに入所する必要がある。状態を確認してみて、入所より医療機関への入院のほうが必要と判断された場合は、入院先に情報提供を行う。
④本加算は、当該利用者の在宅での療養が継続されることを評価するものであるため、入所後速やかに退所に向けた施設サービス計画を策定し、当該入所者の「認知症の行動・心理症状」が安定した際には速やかに在宅復帰が可能となるようにすること。
【解釈】加算の名称に「緊急対応」と付いているように、あくまで一時的な処置であることを考慮し、入所後のすぐに退所に向けた施設サービス計画を策定する。
⑤次に掲げる者が、直接、当該施設へ入所した場合には、当該加算は算定できないものであること。
a.病院又は診療所に入院中の者
b.介護保険施設又は地域密着型介護老人福祉施設に入院中又は入所中の者
c.短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、短期利用特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、短期利用認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び短期利用地域密着型特定施設入居者生活介護を利用中の者
⑥判断を行った医師は診療録等に症状、判断の内容等を記録しておくこと。また、施設も判断を行った医師名、日付及び利用開始に当たっての留意事項等を介護サービス計画書に記録しておくこと。
【解釈】加算を算定するために必要な記録は、①入所を指示した医師の名前、②指示した日付、③留意事項である。
⑦当該加算の算定にあたっては、個室等、認知症の行動・心理症状の増悪した者の療養に相応しい設備を整備すること。
【解釈】危険行動がある場合の緊急対応なので、集団部屋の利用はリスクが伴うので好ましくない。
⑧当該加算は、当該入所者が入所前1月の間に、当該介護老福祉施設に入所したことがない場合及び過去1月の間に当該加算(他サービスを含む)を算定したことがない場合に限り算定できることとする。
【解釈】算定条件として、①過去1カ月間に「認知症行動・心理症状緊急対応加算」を算定していないこと、②過去1カ月間に算定する老健に入所していないことの2点が必要となる。

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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