足底の状態というのは非常に面白くて、どこに皮膚の硬さ(胼胝)が存在するかで身体の状況をおおまかに知ることができます。
例えば、小指の付け根に胼胝が形成されている人では、体重を足底の前外側で支えていることがわかります。
このような人は立っているときにふくらはぎ(腓腹筋)のハリ感が強く、場合によっては膝裏に痛みを訴えることになります。
理由としては、身体の重心が前方にあるために、重心を支持面(足底)の中央に戻そうとして後方の筋肉が収縮します。
ほとんどの人は身体の重心を足関節でコントロールするので、足関節の動きを担う後方の筋肉の腓腹筋とヒラメ筋が過剰に緊張するわけです。
腓腹筋に関しては膝の裏(大腿骨)に付着部を持つため、強い牽引力が加わり続けることで痛みとして認識することになります。
筋力低下などの問題で筋収縮のみの調整が困難になると、関節を曲げることで重心を中央に調整する手段をとる場合もあります。
これまでに経験した患者の傾向をみると、小指の付け根に胼胝がある患者では、片脚立位が困難なことが多いです。
また、踵に力が入らない(重心が前方のため)、つま先を上げて歩けない(腓腹筋とヒラメ筋が緊張しているため)といった訴えがありました。
それでは、どうして小指の付け根に荷重が集中しているのかですが、よくみられるパターンとしては下腿内側の硬結です。
下腿の内側が硬くなると足関節は内反方向に偏位した状態となり、結果的に内反捻挫を引き起こしやすくなります。
そのため、治療では下腿内側の硬結を取り除き、重心が後方にくるように身体調整することが必要です。
意識的に重心を踵に乗せるように説明し、それでふくらはぎのハリ感がなくなることを実感してもらうことで、患者にも理解してもらえるはずです。
足底の重心が中央に調整できると片脚立位のバランスも良くなりますので、在宅トレーニングとして指導してみてください。