足関節の構造や関節可動域について解説していきます。
足関節の概要
足関節は距腿関節のことを通常は指しますが、機能的にはその遠位にある距骨下関節や横足根関節と連動しており、それらを含める場合もあります。
距腿関節について
距腿関節は、脛骨の下関節面と内果および腓骨の外果を関節窩とし、距骨正面の滑車を関節頭とする蝶番関節です。
蝶番関節なので運動方向は1軸性であり、足関節の背屈と底屈に作用します。可動範囲は背屈20度、底屈45度です。
距骨下関節の内転や外転の動きが合わさることで、外反や内反といった複合的な動きを行えるようになります。
距骨下関節について
距骨下関節は、距骨と踵骨から構成される関節で、回内と回外の動きに作用します。可動範囲は外転10度、内転20度です。
距腿関節の背屈と外転が複合すると外反し、底屈と内転が複合すると内反します。可動範囲は外反20度、内反30度です。
横足根関節について
横足根関節は、踵骨と立方骨の関節、距骨と舟状骨の関節を合わせた総称です。ショパール関節(Chopart Joint)と呼ばれることもあります。
平面関節であり、距骨下関節の回内や回外の動きに連なって斜めに滑ります。回内の位置でゆるみ、回外の位置で締まります。
足関節の関節可動域と測定方法
運動方向 | 参考角度 | 基本軸 | 移動軸 | 参考図 |
底屈 | 45 | 腓骨 | 第5中足骨 | |
背屈 | 20 | |||
外反 | 20 | 下腿軸垂直線 | 足底面 | |
内反 | 30 | |||
外転 | 10 | 第1,2中足骨間 | 第1,2中足骨間 | |
内転 | 20 |
底背屈の基本軸は腓骨中央線ですが、より明確にするには腓骨頭と外果を結ぶ線とする方が望ましいです。底背屈時は内外反が入らないように注意します。
内外反では移動軸を当てる位置は、足底面の中でも彎曲の少ない中足指節関節部分が望ましいです。
内外転では、床面に基本軸の基準となるラインがあると測定の一助となります。
足関節の動きに作用する筋肉(貢献度順)
方向 | 筋肉 |
底屈 | ヒラメ筋、腓腹筋、長腓骨筋 |
背屈 | 前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋 |
外反 | 長腓骨筋、短腓骨筋、第三腓骨筋 |
内反 | 後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋、前脛骨筋 |
足関節周囲の靱帯
足関節は内果と外果の高さの違いから、内反捻挫によって外側靭帯を損傷しやすい状態にあります。
足の外側靱帯は、①前距腓靱帯、②後距腓靱帯、③踵腓靭帯の三つを合わせた総称になります。ちなみに足の内側靭帯は三角靱帯を指します。
1.足関節の靱帯(前面) |
2.足関節の靱帯(後面) |
3.足関節の靱帯(内側面) |
4.足関節の靱帯(外側面) |
靱帯 | 機能 |
前距腓靱帯 | 足関節内反の制動 |
後距腓靱帯 | 足関節内反の制動 |
踵腓靭帯 | 足関節内反の制動 |
三角靭帯 | 足関節外反の制動 |
支帯 | 支帯の下を通過する腱などの位置を保つ |
足底腱膜 | 歩行時のスプリング,足底深部の血管や神経の保護 |