この記事では、長橈側手根伸筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
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長橈側手根伸筋の概要
長橈側手根伸筋は前腕後面浅層に位置する筋肉で、上腕骨外側上稜より起始し、第2指の中手骨底背側に停止します。
短橈側手根伸筋と共に、手の甲の付け根にある伸筋支帯の第2区画を通過しています。
手関節の近位背側では、長母指外転筋と短母指伸筋の筋腹が長・短橈側手根伸筋腱の上方を横切るように走行しています。
生活動作においては窓拭きやタイピング時に使用され、スポーツではテニスのバックハンド動作で活躍します。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 橈骨神経の深枝 |
髄節 | C6-7 |
起始 | 上腕骨の外側顆上稜および外側上顆にいたるまでの外側筋間中隔 |
停止 | 第2中手骨底の背側面 |
栄養血管 | 橈骨動脈 |
動作 | 手関節の橈屈,背屈、肘関節の屈曲 |
拮抗筋 | 橈骨手根屈筋 |
筋体積 | 38㎤ |
筋線維長 | 14.1㎝ |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
手関節背屈 |
手関節橈屈 |
肘関節屈曲 |
1位 | 総指伸筋 | 長橈側手根伸筋 | 上腕二頭筋 |
2位 | 長橈側手根伸筋 | 長母指外転筋 | 上腕筋 |
3位 | 短橈側手根伸筋 | 長母指伸筋 | 腕橈骨筋 |
4位 | 尺側手根伸筋 | 橈側手根屈筋 | 長橈側手根伸筋 |
長橈側手根伸筋の触診方法
手関節の橈屈・背屈運動を実施させて、長橈側手根伸筋を起始部付近で触診しています。
ストレッチ方法
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上肢を肘関節伸展・前腕回内・手関節掌屈位とし、もう片方の手で手関節を掌屈・尺屈に誘導していきます。
筋力トレーニング
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立位にて上肢を伸展した状態でダンベルを握ります。肘関節は伸展した状態で、手首を橈屈・背屈させていきます。
トリガーポイントと関連痛領域
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長橈側手根伸筋のトリガーポイントは筋腹に出現し、関連痛は上腕骨外側上顆から前腕外側、第2指まで波及します。
長橈側手根伸筋は外側上顆には付着していないため、基本的には外側上顆炎(テニス肘)の原因とはなりません。
アナトミートレイン
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長橈側手根伸筋はSBAL(スーパーフィシャル・バックアーム・ライン)の筋膜経線上に位置する筋肉になります。
関連する疾患
- 長橈側手根伸筋腱断裂
- 後骨間神経麻痺 etc.
後骨間神経麻痺
橈骨神経は後骨間神経に移行した後に、回外筋入口部で狭いトンネル部(フロセのアーケード)で圧迫を受ける場合があります。
その状態を後骨間神経麻痺(回外筋症候群)といい、橈骨神経のように下垂手を起こすのではなく、下垂指を呈するのが特徴です。
これは回外筋内に神経が進入する前に、長・橈側手根伸筋に神経の枝が分布し、その機能が失われないために起こる現象です。