非構築性脊柱側弯症のリハビリ治療に関して説明していきます。
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脊柱側弯症の概要
脊柱側弯症は大きく分けて、構築性脊柱側弯症と非構築性脊柱側弯症の2つに分けられます。
構築性脊柱側弯症とは、骨そのものの構造的な側弯を指し、なかには脊椎の補正ができない捻れによる回復不能の側弯症を含んでいます。
非構築性脊柱側弯症とは、筋・筋膜のインバランスなど機能的な問題による側弯を指しており、矯正がまだ可能な状態ともいえます。
構築性のほとんどは思春期までに発症するのに対して、非構築性は中年以降に加齢に伴って発生します。
非構築性脊柱側弯症とは
非構築性脊柱側弯症は高齢者に多く発生し、主に筋・筋膜の問題によって生じる側弯症を指します。
原因としては、背部または頸部の疼痛刺激による防御性筋収縮反射または筋スパズム、脚長差などによる習慣的な不良姿勢が挙げられます。
以下に、右腸骨稜が左腸骨稜よりも高い状態(腰椎左凸型側弯)における筋肉の特徴を示します。
右側 | 左側 | |
短縮・緊張 | 腰方形筋、内転筋群、腓腹筋内側頭前脛骨筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋 | 中殿筋、大腿筋膜張筋、腓骨筋、腓腹筋外側頭 |
伸張・弱化 | 中殿筋、大腿筋膜張筋、腓骨筋、腓腹筋外側頭 | 腰方形筋、内転筋群、腓腹筋内側頭前脛骨筋、後脛骨筋、長趾屈筋、長母趾屈筋 |
非構築性脊柱側弯症の発生頻度は6〜68%と様々に報告されており、加齢による変化のため、高齢者では多くに発生します。
非構築性の場合は、そのほとんどがCobb角は30〜40°の範囲内であり、構築性と比較して軽度です。健常者なら私生活に問題を起こさない範囲ですが、高齢者では骨や靱帯の肥厚などの影響で正常よりも脊柱管や椎間孔は狭窄しています。
そこに側弯変形が加わると狭窄はより強まり、脊柱管狭窄症などを起こして腰痛や下肢神経症状を招きます。
運動療法の理論について理解する
側弯症に対する運動療法の原則は、凸側(伸張側)の筋力強化および凹側(短縮側)のストレッチになります。
とくに腰方形筋の短縮と中殿筋の筋力低下が問題となっている場合が多いので、重点的にアプローチすることが必要です。
中殿筋に筋力低下が起こるといわゆるトレンデレンブルグ徴候が起こり、立位時に低下側の骨盤挙上が発生します。
それは結果的に腰椎の側屈を招くことになり、脊柱側弯症を発生させることにつながります。
通常、股関節の内転筋群は立脚期に活動することはありませんが、中殿筋に筋出力低下があると、代償的に内転筋で下肢を支持しようと働きます。
そうすると起始側である骨盤が引き寄せられて反対側が落ち込むといった、いわゆるトレンデレンブルグ徴候を示します。
そのため、股関節内転筋の状態も確認しておくことが重要であり、歩行中の筋活動についても注意して見ていくようにしてください。