この記事では、頭板状筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
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頭板状筋の概要
頭板状筋は頚部後面表層を走行している筋肉で、起始部は僧帽筋上部に、停止部は胸鎖乳突筋に覆われております。
板状筋には、①頭板状筋、②頸板状筋の2つが存在しており、その作用はほとんど同じになります。
頭板状筋には白筋線維が豊富に存在しているため、日常生活での活動は少ない筋肉と考えられます。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 脊髄神経の後枝 |
髄節 | C1-5 |
起始 | 第4頸椎から第3胸椎の棘突起、項靭帯 |
停止 | 側頭部の乳様突起、後頭骨の上項線の外側部 |
動作 | 頸部の伸展,回旋(同側),側屈(同側) |
筋体積 | 27.1㎤ |
筋線維長 | 10.8㎝ |
速筋:遅筋(%) | 75.0:25.0 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
頸部伸展 |
頸部側屈 |
頭部回旋 |
1位 | 板状筋群 | 胸鎖乳突筋 | 胸鎖乳突筋(反対側) |
2位 | 半棘筋群 | 斜角筋群 | 板状筋群(同側) |
3位 | 脊柱起立筋 | 脊柱起立筋 | 脊柱起立筋 |
4位 | 後頭下筋群 | 板状筋群 | 回旋筋 |
頭板状筋の触診方法
前述したように起始と停止は僧帽筋上部と胸鎖乳突筋に覆われています。
しかし、筋腹は表層に位置していますので、僧帽筋上部外側縁の外側にて、頭板状筋の筋腹を触診することができます。
停止部から触知する場合は、胸鎖乳突筋後縁から触れるようにし、頸の伸展に軽く抵抗をかけると筋収縮が触知しやすいです。
※黄色部分が頭板状筋 |
頸部の断面図
板状筋は固有背筋の中で最も浅層に位置する筋肉であり、頸椎横突起に向かって斜め外側に走行しています。
ストレッチ方法
手で頭部を斜め下方(屈曲・側屈)に引き寄せていきます。
頭板状筋は頸板状筋よりも内側に位置しているため、屈曲角度をあげることでより選択的に伸張できます。
筋力トレーニング
頭にタオルを巻いて両端を手で握り、頸部を屈曲方向に引っ張ります。
頸部はそれに逆らって伸展方向に力を入れていきます。
トリガーポイントと関連痛領域
頭板状筋にトリガーポイントが発生すると、こめかみ周囲から後頭部にかけて痛みを起こし、片頭痛に類似した症状を示します。
交通事故などのむち打ち症で発生する場合が極めて多いので、後頭部の痛みを訴える場合は後頭下筋群とともにチェックしてください。
アナトミートレイン
頭板状筋の筋膜経線は主に2つで、LL(ラテラル・ライン)とSPL(スパイラル・ライン)があります。
LLの主な機能は、姿勢の前後のバランスを取り、両側で左右のバランスをとることにあります。
そのため、その他のライン(SFL・SBL・SPL)の間で力の仲介を担います。
もうひとつのラインであるSPLは、身体を二重ラセンで取り巻いており、主に回旋方向への力の伝達とバランスの維持に寄与します。
SPLの多くは基幹経線(SBL・SFL・LL)やDBALといった他のラインに加わるため、機能不全を起こすと障害が大きく波及します。