日々の臨床をしている中で、腰椎の椎間板ヘルニアがあるヒトは頸椎にも椎間板ヘルニアを起こしやすいと感じています。
まあ理由は簡単なのですが、腰椎の椎間板ヘルニアを起こしやすいヒトというのは、腰椎の屈曲が出やすい場合です。
ケンダルの姿勢分類で書くならフラットバック(平背)タイプになりますが、腰椎の屈曲が出やすく、胸椎の屈曲(後弯)が出にくい状態にあります。
腰椎の屈曲が出やすいタイプは、隣接する胸椎の屈曲を出す必要がなくなるので、自然に胸椎がフラット化していきます。
胸椎がフラット化して屈曲が出にくくなると、下を向くときに隣接する下位頸椎が代償的に屈曲(後弯)します。
その状態が慢性化するといわゆる「ストレートネック」となるため、頸椎に椎間板ヘルニアが起こりやすい状態になります。
以上のことを考慮すると、姿勢や動き方、普段の習慣を変えていくことが椎間板ヘルニアを予防することには重要となるわけです。
姿勢を変えるには筋・筋膜の硬さをとることが重要といわれていますが、不良姿勢のすべてに硬さが存在しているわけではありません。
むしろ姿勢を崩すほどの硬さがあるケースは少なく、その場合に普段の姿勢を変えていくことはかなり難しいです。
その場合は、「動き方」や「普段の習慣」を変えていくことがより重要となります。
具体的に書くと、頸椎の屈曲が出やすい場合は、隣接する関節(胸椎や上位頸椎)を意識して屈曲させるようにしてもらいます。
ヘルニアがある部分(頸椎の場合はほとんどがC5/6間)を患者に理解してもらい、そこを曲げないような意識付けをすることも大切です。
普段の習慣については、ストレートネックが別名で「スマホ首」と呼ばれるように、下を向きすぎる習慣を変えることが必要となります。
デスクワークなど仕事中の負荷量を調整できないケースもありますが、それ以外では負担を蓄積させないような生活習慣が大切です。
下位頸椎を伸展させるストレッチを定期的にするなどしてもらい、ヘルニアや椎間板症を起こさない(悪化させない)ように指導していってください。