日本で最も幸福な都道府県
2011年に、法政大大学院政策創造研究科の坂本教授らが日本全国の47都道府県の幸福度を調査・分析した、都道府県別の幸せ度ランキングを発表しました。
その中で、最も幸福度が高いのは福井県であると報告しています。また、最下位は大阪府で、東京都は38位でした。
客観的評価に基づくランキング
この調査研究では、47都道府県の実態と課題を評価分析し、様々な社会経済統計を利活用して抽出した40の指標を「生活・家族部門」「労働・企業部門」「安全・安心部門」「医療・健康部門」に分け、それぞれの指標の順位による10段階評価の合計から総合平均評点を計算しランキングしています。
各都道府県の順位と点数
順位 |
都道府県 |
得点 |
1位 | 福井県 | 7.32点 |
2位 | 富山県 | 7.2点 |
3位 | 石川県 | 6.93点 |
4位 | 島根県 | 6.9点 |
5位 | 佐賀県 | 6.55点 |
5位 | 熊本県 | 6.55点 |
7位 | 長野県 | 6.48点 |
8位 | 鳥取県 | 6.35点 |
9位 | 三重県 | 6.25点 |
10位 | 新潟県 | 6.18点 |
11位 | 滋賀県 | 6.13点 |
12位 | 香川県 | 6.1点 |
13位 | 岐阜県 | 6.08点 |
14位 | 山梨県 | 6.05点 |
14位 | 大分県 | 6.05点 |
16位 | 山口県 | 6点 |
16位 | 徳島県 | 6点 |
18位 | 広島県 | 5.95点 |
19位 | 山形県 | 5.93点 |
19位 | 静岡県 | 5.93点 |
21位 | 愛知県 | 5.9点 |
22位 | 岩手県 | 5.88点 |
22位 | 長崎県 | 5.88点 |
22位 | 岡山県 | 5.88点 |
25位 | 群馬県 | 5.8点 |
26位 | 栃木県 | 5.75点 |
27位 | 福島県 | 5.73点 |
27位 | 愛媛県 | 5.73点 |
27位 | 宮崎県 | 5.73点 |
30位 | 茨城県 | 5.68点 |
31位 | 奈良県 | 5.65点 |
32位 | 和歌山県 | 5.63点 |
33位 | 千葉県 | 5.53点 |
33位 | 神奈川県 | 5.53点 |
35位 | 鹿児島県 | 5.45点 |
36位 | 宮城県 | 5.43点 |
37位 | 秋田県 | 5.4点 |
38位 | 東京都 | 5.38点 |
39位 | 福岡県 | 5.28点 |
40位 | 青森県 | 5.25点 |
41位 | 沖縄県 | 5.2点 |
42位 | 京都府 | 5.18点 |
43位 | 北海道 | 5.15点 |
44位 | 埼玉県 | 5.08点 |
45位 | 兵庫県 | 5.03点 |
46位 | 高知県 | 5点 |
47位 | 大阪府 | 4.75点 |
上位に共通する項目
上位三県に共通する項目として、未婚率が低く出生率が高い、福利厚生面が充実し住みやすい、犯罪、火災、事故が少なく安心して暮らせる、日本海側に位置している、人口100万人前後の県、第二次産業が集積しているなどの理由が挙げられます。
また、失業率が低いことや保育所定員の高さなど就業環境や子育て環境が整っていることも上位になった要件と考えられます。
それぞれの特徴について
1位の福井県は、年間完全失業率が低いこと、女性の未婚率が少ないことで第1位、2位の富山県は、離婚件数が低いこと、生活保護受給世帯が少ないことで第1位、三位の石川県は、殺人事件被害者数で第1位を獲得しています。
また、ここに挙げた項目は各県ともに高い水準を示しています。
幸福度を上げる要因となるもの
幸福度を最も上げる要因として、多くの研究で「結婚」が挙げられていますが、離婚件数や未婚率が少ないことはまさに幸福度を高める要因となっています。
また、年間完全失業率や生活保護受給世帯が少ないことは、生活の安定を意味しています。これらの条件によって、福井県や富山県が幸せな都道府県であると表現することも確かに可能ではあります。
でも本当にこの結果が正しいといえるの?
一方で、上位20位までのうち、人口250万人以上の都道府県、東京圏・大阪圏の都道府県はほとんどランクインしていないことも、今回の調査結果の特徴として挙げられます。
この調査では、幸せの指標に、「持ち家率」「畳数」「就業期間」「刑法犯認知数」などが含まれており、これらの項目は必然的に大都市では点数が低くなる傾向にある。
また、これらの項目が幸福度を下げる要因に直結しているという根拠や、一律の点数配分にしているところを項目によって配点を調整しなければ正確なデータは出せません。
別の調査では東京や大阪の方が幸福度は高い
大阪大学社会経済研究所の筒井教授らは、客観的なデータからではなく、本人の主観的な幸福度を調査しています。方法としては、対象者に以下のような質問を実施しています。
”全体として、あなたはどの程度幸福だと感じていますか。『非常に幸福』を10点、『非常に不幸』を0点、『幸福とも不幸ともどちらともいえない』を5点にして、あなたは何点ぐらいになると思いますか。 |
筒井教授らが実施した主観的幸福度の調査によると、東京や大阪などの13大都市に住む人たちの方が、その他の小さな市町村に住む人たちよりも幸せだと答えている結果となっています。
ちなみに、関東、近畿、九州で有意に幸福度が高く、四国、甲信越、東北、北海道の地域で有意に幸福度が低いという結論でした。このデータは、坂本教授らの調査とはまったく反対の結果といえます。
一概に幸福度は決めれない
これらのことより、現状での都道府県別の幸せ度ランキングは話のネタ程度の豆知識に止めておいた方がいいかもしれませんね。どこにいても幸せな人はいますし、もちろん不幸な人もいます。
一概には決めれませんよね。いろいろと住んでみて、自分に合っているところで暮らしていきたいもんですね。