社会参加支援加算の算定要件【通所リハビリ】

※平成30年度の介護報酬改定において、社会参加支援加算の要件が明確化されました。

社会参加支援加算の単位や算定要件等について解説していきます。

なお、訪問リハビリで算定できる社会参加支援加算は単位などが異なるので、以下の記事を参考にされてください。

単位(通所リハ)

報酬項目 単位
社会参加支援加算 12単位/日

対象の事業所(介護度)

  • 通所リハビリテーション(要介護)

算定要件

社会参加支援加算を算定するためには、以下の3つの要件を満たしている必要があります。

  1. 評価対象期間において指定通所リハビリテーションの提供を終了した者 (生活行為向上リハビリテーション実施加算を算定した者を除く。)のうち、指定通所介護、指定地域密着型通所介護、指定認知症対応型通所介護 第一号通所事業その他社会参加に資する取組を実施した者の占める割合が、100分の5を超えていること
  2. 評価対象期間中に指定通所リハビリテーションの提供を終了した日から起算して14日以降44日以内に、通所リハビリテーション終了者に対して、その居宅を訪問すること又は介護支援専門員から居宅サービス計画に関する情報提供を受けること
  3. リハビリテーションの利用の回転率が100分の25以上であること
通所リハビリ|介護報酬改定

社会参加支援加算の留意事項

訪問リハビリテーションと同様であるので5(8)を参照されたい。
【解説】5(8)については以下に記載する。なお、訪問リハビリテーションと記載されている部分は通所リハビリテーションに変換して掲載している。

5(8)

①社会参加支援加算におけるリハビリテーションは、通所リハビリテーション計画に家庭や社会への参加を可能とするための目標を作成した上で、利用者のADL及びIADLを向上させ、指定通所介護等に移行させるものであること
【解説】本来、リハビリは永続的に実施することを目的とはしていないため、積極的に卒業を促して、ADL及びIADL能力を自己にて維持できるように支援している施設を評価する加算が社会参加支援加算である
②「その他社会参加に資する取組」には、医療機関への入院や介護保険施設への入所、指定訪問リハビリテーション、指定通所リハビリテーション、指定認知症対応型共同生活介護等は含まれず、算定対象とならないこと
【解説】社会参加支援加算はリハビリを卒業して通所介護等(社会復帰も含む)に移行することを評価するものなので、入院や入所、訪問リハビリに移行することは評価の対象とはならない
③大臣基準告示第13号イ⑴の基準において、指定通所介護等を実施した者の占める割合及び基準第13号ロにおいて、12月を指定通所リハビリテーション事業所の利用者の平均利用月数で除して得た数については、小数点第3位以下は切り上げること
【解説】通所リハビリテーションの利用の回転が25%以上であることが算定要件であるが、「24.1%」となる場合は切り上げで25%とすることができる
④平均利用月数については、以下の式により計算すること。
イ) (ⅰ)に掲げる数÷(ⅱ)に掲げる数(ⅰ) 当該事業所における評価対象期間の利用者ごとの利用者延月数の合計(ⅱ) (当該事業所における評価対象期間の新規利用者数の合計+当該事業所における評価対象期間の新規終了者数の合計)÷2
ロ) イ(ⅰ)における利用者には、当該施設の利用を開始して、その日のうちに利用を終了した者又は死亡した者を含むものである
ハ) イにおける(ⅰ) 利用者延月数は、利用者が評価対象期間において当該事業所の提供する通所リハビリテーションを利用した月数の合計をいう
ニ) イ(ⅱ)における新規利用者数とは、当該評価対象期間に新たに当該事業所の提供する通所リハビリテーションを利用した者の数をいう。また、当該事業所の利用を終了後、12月以上の期間を空けて、当該事業所を再度利用した者については、新規利用者として取り扱うこと
 ホ) イ(ⅱ)における新規終了者数とは、評価対象期間に当該事業所の提供する通所リハビリテーションの利用を終了した者の数をいう
⑤「三月以上継続する見込みであること」の確認に当たっては、指定訪問リハビリテーション事業所の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、通所リハビリテーション終了者の居宅を訪問し、通所リハビリテーション計画書のアセスメント項目を活用しながら、リハビリテーションの提供を終了した時と比較して、ADL及びIADLが維持又は改善していることを確認すること。なお、利用者の居宅への訪問が困難である場合、当該利用者の介護支援専門員に対して、居宅サービス計画の提供を依頼し、社会参加等に資する取組の実施状況を確認するとともに、電話等を用いて、上記と同様の内容を確認すること
【解説】利用者の居宅を訪問しなくても、ケアマネに居宅サービス計画を提供してもらい、サービスの提供状況を確認してから電話連絡で本人又は家族に確かめることでも可能とする
⑥「三月以上継続する見込みであること」の確認に当たって得られた情報については、通所リハビリテーション計画等に記録すること
【解釈】確認した情報を記録しておかないことには、監査で確認した証拠を示すことができないので注意する

Q&A(厚生労働省通達)

Q.社会参加支援加算について、既に訪問(通所)リハビリテーションと通所介護を併用している利用者が、訪問(通所)リハビリテーションを終了し、通所介護はそのまま継続となった場合、「終了した後通所事業を実施した者」として取り扱うことができるか。
A.貴見のとおりである。
Q.社会参加支援加算は事業所の取り組んだ内容を評価する加算であるが、同一事業所において、当該加算を取得する利用者と取得しない利用者がいることは可能か。
A.同一事業所において、加算を取得する利用者と取得しない利用者がいることはできない。
Q.社会参加支援加算は、厚生労働大臣が定める基準(平成27 年厚生労働省告示第95号)イ(2)に規定される要件は遡って行うことができないことから、平成27 年1月から3月までについての経過措置がなければ、平成28 年度からの取得できないのではないか。また、平成27 年度から算定可能であるか。それとも、イ(2)の実施は平成27 年4月からとし、平成26 年1月から12 月において、イ(1)及びロの割合を満たしていれば、平成27 年度から算定可能であるか。
A.平成27 年度からの取得はできない。また、平成28 年度からの取得に当たって、その評価対象期間には、平成27 年1月から3 月については、算定対象者がいないものとし、同年4 月から12 月の状況をもって、翌年の3月15 日までに届出を行い、平成28 年度から取得する。
Q.利用者が訪問リハビリテーションから通所リハビリテーションへ移行して、通所リハビリテーション利用開始後2月で通所介護に移行した場合、訪問リハビリテーションの社会参加支援加算の算定要件を満たしたこととなるか。
A.貴見のとおりである。
Q.入浴等のADL の自立を目的に、訪問リハビリテーションと訪問介護(看護)を併用していたが、ある程度入浴が1人でできるようになったため、訪問リハビリテーションを終了し、訪問介護の入浴の準備と見守りの支援だけでよいとなった場合、社会参加支援加算が算定できるのか。
A.訪問介護、訪問看護の利用の有無にかかわらず、社会参加等に資する取組を実施していれば、社会参加支援加算の対象となる。
Q.社会参加支援加算で通所リハビリテーションから通所介護、訪問リハビリテーシ ョンから通所リハビリテーション等に移行後、一定期間後元のサービスに戻った場合、 再び算定対象とすることができるのか。
A.社会参加支援加算については、通所リハビリテーションの提供を終了した日から起算し て 14日以降44日以内に通所リハビリテーション従業者が通所リハビリテーション終了 者に対して、居宅訪問等により、社会参加に資する取組が居宅訪問等をした日から起算し て、3月以上継続する見込みであることを確認することとしている。なお、3月以上経過 した場合で、リハビリテーションが必要であると医師が判断した時は、新規利用者とする ことができる。
Q.社会参加支援加算の算定では、訪問・通所リハビリテーションの提供が終了し、そ の終了日から起算して14日以降44日以内に、社会参加等が3ヶ月以上続く見込みであ ることを確認する必要がある。その際、事前に電話等で詳細に状況を確認した時点で、 社会参加等が3ヶ月以上続く見込みであったが、その後、実際に居宅を訪問した際には、 リハビリテーションを利用していた者の体調が急激に悪化しており、社会参加等が3ヶ月以上続く見込みではなくなっていた場合、どのような取扱いになるのか。
A.事前の確認で社会参加等が3ヵ月続く見込みであったとしても、実際の訪問の時点で 当該者の体調が急激に悪化しており、社会参加等が3ヶ月以上続く見込みを確認できな かった場合、社会参加等が3ヶ月以上続く見込みを確認できないものとして扱うこと。
Q.社会参加支援加算に係る解釈通知における、「( i ) 当該事業所における評価対象期間の 利用者ごとの利用者延月数の合計」は、具体的にはどのように算出するか。
A.社会参加支援加算は、利用者のADL・IADLが向上し、社会参加に資する取組に移行する等 を指標として、質の高いリハビリテーションを提供する事業所を評価するものである。 そのため、「社会参加への移行状況」と「サービスの利用の回転」を勘案することとしている。 このうち、「サービスの利用の回転」の算定方法は下記のとおりであり、平均利用月数が48月以内であることを要件している。
社会参加支援稜①
この平均利用月数を算出する際に用いる、「( i ) 当該事業所における評価対象期間の利 用者ごとの利用者延月数の合計」とは、評価対象期間に当該事業所を利用した者の、評価対 象期間におけるサービス利用の延月数(評価対象期間の利用者延月数)を合計するものであ る。なお、評価対象期間以外におけるサービスの利用は含まない。※平成27年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.5)(平成28年3月11日)は削除する。
社会参加支援稜②

これより以下は、平成30年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(介護保険最新情報vol.629)より内容を抜粋しています。

Q.社会参加支援加算における就労について、利用者が障害福祉サービスにおける 就労移行支援や就労継続支援(A型、B型)の利用に至った場合を含めてよいか。
A.よい。

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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