【介護保険】所要時間による区分の取扱い(通所介護)

通所介護(デイサービス)における所要時間による区分の取扱いに関する情報を記載しています。また、原文のあとに簡単な解説を加えています。

所要時間による区分の取扱い

所要時間による区分については、現に要した時間ではなく、通所介護計画に位置づけられた内容の通所介護を行うための標準的な時間によることとされたところであり、単に、当日のサービス進行状況や利用者の家族の出迎え等の都合で、当該利用者が通常の時間を超えて事業所にいる場合は、通所介護のサービスが提供されているとは認められないものであること。したがって、この場合は当初計画に位置づけられた所要時間に応じた所定単位数が算定されるものであること。

【解説】利用時間に関しては、原則として居宅サービス計画及び通所介護計画に記載している提供時間に基づいて算定される。その時にたまたま家族の都合などで帰りが遅くなっても延長時間で算定することはできない。

また、ここでいう通所介護を行うのに要する時間には、送迎に要する時間は含まれないものであるが、送迎時に実施した居宅内での介助等(着替え、ベッド・車椅子への移乗、戸締まり等)に要する時間は、次のいずれの要件も満たす場合、1日30分以内を限度として、通所介護を行うのに要する時間に含めることができる。

【解説】提供時間に関しては、原則として通所介護で過ごした時間のみで算定されるが、1日30分以内なら居宅内での介助で要した時間を含むことができる。ただし、これも居宅サービス計画及び通所介護計画で定めている場合に限る。

これに対して、当日の利用者の心身の状況から、実際の通所介護の提供が通所介護計画上の所要時間よりもやむを得ず短くなった場合には通所介護計画上の単位数を算定して差し支えない。なお、通所介護計画上の所要時間よりも大きく短縮した場合には通所介護計画を変更のうえ、変更後の所要時間に応じた単位数を算定すること。

 【解説】提供時間がやむを得ずに短かった場合に関しては通所介護計画で定めていた提供時間で算定しても構わない。ただし、午前午後の利用予定が午前中のみの利用といったように大幅に短くなった場合は、所要時間に応じた単位数を算定する。

なお、同一の日の異なる時間帯に複数の単位(指定居宅サービス基準第93条に規定する指定通所介護の単位をいう。以下同じ)を行う事業所においては、利用者が同一の日に複数の指定通所介護の単位を利用する場合には、それぞれの通所介護の単位について所定単位数が算定されること

居宅内での介助を利用時間に含める場合

1日30分を限度にして、居宅内での介助を利用時間に含めることができるが、以下の2点を満たしている必要がある。

  • 居宅サービス計画及び通所介護計画に位置付けた上で実施する場合
  • 送迎時に居宅内の介助等を行う者が、介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、一級課程修了者、介護職員初任者研修修了者(二級課程修了者を含む。)、看護職員、機能訓練指導員又は当該事業所における勤続年数と同一法人の経営する他の介護サービス事業所、医療機関、社会福祉施設等においてサービスを利用者に直接提供する職員としての勤続年数の合計が3年以上の介護職員である場合
【解説】あらかじめ居宅サービス計画及び通所介護計画に記載してあること。介助を行えるスタッフは上述した有資格者であること、または無資格者でも同一法人内で3年以上にわたって介護職員として働いてきたものに限る。

2時間以上3時間未満の利用

2時間以上3時間未満の通所介護の単位数を算定できる利用者は、心身の状況から、長時間のサービス利用が困難である者、病後等で短時間の利用から始めて長時間利用に結びつけていく必要がある者など、利用者側のやむを得ない事情により長時間のサービス利用が困難な者(利用者等告示第14号)であること。

なお、2時間以上3時間未満の通所介護であっても、通所介護の本来の目的に照らし、単に入浴サービスのみといった利用は適当ではなく、利用者の日常生活動作能力などの向上のため、日常生活を通じた機能訓練等が実施されるべきものであること。

【解説】通所介護で短時間利用が可能なのは、やむを得ない理由で長時間サービス利用が困難な者に限られる。入浴のみの利用などは通所介護の本来の目的に反する。ただし、機能訓練を中心にADL能力向上を目的とし提供されているなら差し支えない。

延長サービスを行った場合の加算の取扱い

延長サービス(延長加算)は、所要時間7時間以上9時間未満の通所介護の前後に連続して日常生活上の世話を行う場合について、5時間を限度として算定される加算である。例えば、以下が挙げられる。

例えば、9時間の通所介護の後に連続して5時間の延長サービスを行った場合や、9時間の通所介護の前に連続して2時間、後に連続して3時間、合計5時間の延長サービスを行った場合には、5時間分の延長サービスとして250単位が算定される。

また、当該加算は通所介護と延長サービスを通算した時間が9時間以上の部分について算定されるものであるため、例えば、8時間の通所介護の後に連続して5時間の延長サービスをった場合には、通所介護と延長サービスの通算時間は13時間であり、4時間分(=13時間-9時間)の延長サービスとして200単位が算定される。

なお、延長加算は実際に利用者に対して延長サービスを行うことが可能な体制にあり、かつ、実際に延長サービスを行った場合に算定されるものであるが、当該事業所の実情に応じて、適当数の従業者を置いている必要があり、当該事業所の利用者が当該事業所を利用した後に、引き続き当該事業所の設備を利用して宿泊する場合や、宿泊した翌日において当該事業所の通所介護の提供を受ける場合には算定することはできない。

【解説】9時間以上の利用が想定される場合は、延長加算(1時間50単位)を最大で5時間まで算定できる。ただし、宿泊する場合は延長加算を算定することはできない。

事業所規模による区分の取扱い

①事業所規模による区分については、施設基準第5号イ⑴に基づき、前年度の1月当たりの平均利用延人員数により算定すべき通所介護費を区分しているところであるが、当該平均利用延人員数の計算に当たっては、同号の規定により、当該指定通所介護事業所に係る指定通所介護事業者が指定介護予防通所介護事業者(介護保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年厚生労働省令第4号)附則第4条第3号の規定によりなおその効力を有するものとされた同令第5条の規定による改正前の指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第35号。以下「旧指定介護予防サービス等基準」という。)第97条第1項に規定する指定介護予防通所介護事業者をいう。以下同じ。)若しくは第一号通所事業(指定居宅サービス等基準第93条第1項第3号に規定する第一号通所事業をいう。以下同じ。)の指定のいずれか又はその双方の指定を併せて受け一体的に事業を実施している場合は、当該指定介護予防通所介護事業所(旧指定介護予防サービス等基準第97条第1項に規定する指定介護予防通所介護事業所をいう。)及び当該第一号通所事業における前年度の1月当たりの平均利用延人員数を含むこととされているところである。したがって、仮に指定通所介護事業者が指定介護予防通所介護事業者若しくは第一号通所事業の指定のいずれか又はその双方の指定を併せて受けている場合であっても、事業が一体的に実施されず、実態として両事業が分離されて実施されている場合には、当該平均利用延人員数には当該指定介護予防通所介護事業所又は当該第一号通所事業の平均利用延人員数は含めない取扱いとする。
【解説】同一法人であっても二つの事業が別に展開されているなら、それぞれの事業所で平均利用延人員数は算出する。
②平均利用延人員数の計算に当たっては、3時間以上5時間未満の報酬を算定している利用者(2時間以上3時間未満の報酬を算定している利用者を含む。)については、利用者数に2の1を乗じて得た数とする。また、平均利用延人員数に含むこととされた指定介護予防通所介護事業所又は第一号通所事業の利用者の計算に当たっては、指定介護予防通所介護(旧指定介護予防サービス等基準第96条に規定する指定介護予防通所介護をいう。)又は第一号通所事業の利用時間が5時間未満の利用者については、利用者数に2分の1を乗じて得た数とし、利用時間が5時間以上7時間未満の利用者については、利用者数に4分の3を乗じて得た数とする。ただし、指定介護予防通所介護事業所又は第一号通所事業の利用者については、同時にサービスの提供を受けた者の最大数を営業日ごとに加えていく方法によって計算しても差し支えない。また、1月間(暦月)、正月等の特別な期間を除いて毎業を実施した月における平均利用延人員数については、当該月の平均利用延人員数に7分の6を乗じた数によるものとする。
【解釈】利用者数のカウントは利用時間によって変動を受ける。

  • 7時間以上の場合➡「1/1人」(要するにカウントは1人)
  • 5時間以上7時間未満の場合➡「3/4人」
  • 2時間以上5時間未満の場合➡「1/2人」

基本的に毎日営業(正月等は除く)している場合は、平均利用延人員数を「6/7」に減らして計算できる。

③前年度の実績が6月に満たない事業者(新たに事業を開始し、又は再開した事業者を含む又は前年度から定員を概ね25%以上変更して事業を実施しようとする事業者においては、当該年度に係る平均利用延人員数については、便宜上、都道府県知事に届け出た当該事業所の利用定員の90%に予定される1月当たりの営業日数を乗じて得た数とする。
【解釈】事業を開始して間もない場合や大幅に定員数を変更した場合は、利用定員(届け出をしている定員数)の90%と営業日数を乗じて計算する。例えば、定員が100人で営業日数が25日なら、「100(人)×0.9×25(日)=平均利用延人数」となる。
④毎年度3月31日時点において、事業を実施している事業あって、4月以降も引き続き事業を実施するものの当該年度の通所介護費の算定に当たっては、前年度の平均利用延人員数は、前年度において通所介護費を算定している月(3月を除く)の1月当たりの平均利用延人員数とする。
【解釈】平均利用延人員数は前年度の1月当たりの人員数で決定されるが、年度末である3月だけは除く。

災害時等の取扱い

災害その他のやむを得ない理由による定員超過利用については当該定員超過利用が開始した月(災害等が生じた時期が月末であって、定員超過利用が翌月まで継続することがやむを得ないと認められる場合は翌月も含む)の翌月から所定単位数の減算を行うことはせず、やむを得ない理由がないにもかかわらずその翌月まで定員を超過した状態が継続している場合に、災害等が生じた月の翌々月から所定単位数の減算を行うものとする。また、この場合にあっては、やむを得ない理由により受け入れた利用者については、その利用者を明確に区分した上で、平均利用延人員数に含まないこととする。

 【解釈】やむを得ない理由で定員数をオーバーしている場合は減算を免除される。通常はその月だけの特別処置だが、災害等が月末に発生して翌月までやむを得ない場合は翌月まで対応する。やむを得ずに受け入れた利用者については、平均利用延人員数には含めない。

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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