MRIの読影について

MRI(magnetic resonance imaging:核磁気共鳴画像法)は、磁気を用いて身体内部を撮像する方法です。

X線写真やCTとは異なり、磁気を用いるので患者が放射線を被ばくしないことが最大の長所です。

X線写真やCTが主に骨の評価に優れているのに対して、MRIは筋肉や靱帯などの軟部組織の評価に優れています。

MRIは脂肪組織にある「脂肪プロトン」と、脂肪以外の組織にある「水プロトン」の2種類だけを撮像します。

そのため、MRIは脂肪と水が映っているだけであり、T1強調画像は脂肪プロトンを、T2強調画像は水プロトンを強調した画像となります。

注意点としては、脂肪はT1強調画像で高信号を示しますが、T2強調画像でもほぼ高信号に抽出されます。

そのため、T1強調画像とT2強調画像の決定的な違いは、水を示す信号の濃度であることを覚えておくようにします。

腱や靱帯、骨皮質などは脂肪プロトンも水プロトンもほとんど含まないので、T1・T2ともに低信号を示します。

そのように本来は低信号を示す部分に高信号がみられたら、損傷(炎症)や変性が存在している可能性が高いです。

上の画像は、肩関節のT2強調画像ですが、棘上筋腱の部分に高信号が認められます。

腱板断裂が存在するかは不明ですが、水が溜まっている時点で腱板損傷が存在していることが予測されます。

MRIは水を映し出すものなので、読影するときのポイントとしては、T2強調画像で水が溜まっている場所を中心に探していくといいです。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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