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椎間関節障害のリハビリ治療


椎間関節障害のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

椎間関節の概要

椎間関節は、上の椎骨の「下関節突起」と下の椎骨の「上関節突起」とで構成される滑膜関節になります。

椎間関節の関節包には、痛覚伝達に関与する神経線維や【侵害受容器】が他の関節の10倍も含まれていることが報告されており、椎間関節が腰痛の原因となりやすいです。

椎間関節

立位時では、椎間関節に加わる荷重は15-20%とされており(残りの80%以上は椎間板が担う)、脊椎の伸展および回旋動作を伴う場合には、その割合が増加する傾向にあります。

また、加齢に伴って椎間板の扁平化が進行すると、椎間板腔が狭小化していき、従来は80%以上の荷重を担っていた椎間板の緩衝能力が低下し、椎間関節への負担が増加します。

そのように考えると、加齢に伴って椎間関節に由来する痛みは増えていくことが予測されますが、実際には全ての年代で発生しやすくなっています(50歳以上に多めではあります)。

”【侵害受容器とは】身体を破壊する侵害刺激に反応する感覚受容器のこと。一次疼痛には高閾値機械受容器、二次疼痛にはポリモーダル受容器がある。

高齢者で椎間関節障害が増えない理由

その理由として、高齢者では円背変形によって背骨が曲がっているため、椎間関節への負担が減少してしまい、結果的に椎間関節障害が起こりにくくなってしまうからです。

しかし、その場合は椎体にかかる負担が増加してしまうため、脊椎圧迫骨折などのリスクが高まることになります。

若年者に好発するケースとしては、スポーツなどを積極的にされており、その際に反復した脊椎の伸展動作や回旋動作を行うことで、椎間関節に障害をきたします。

そのため、腰椎分離症の初期などに併発して起こる場合が多いです。

脊椎|脊椎分離症

椎間関節障害を鑑別する

椎間関節性疼痛と他の原因による疼痛患者を確実に鑑別できる臨床的特徴はまだ報告されていませんが、現場でよく用いられる方法として、体幹の伸展動作があります。

腰椎を過伸展させることで椎間関節への機械的ストレスを増加させて痛みを誘発させます。

また、体幹を回旋させることで椎間関節包を選択的に伸張することができるため、炎症や短縮などの問題をきたしている場合は、痛みを誘発させることが可能です。

痛みの受容器は関節包の尾側部や辺縁部、関節突起への筋付着部に多いため、椎間関節を外部より直接的に圧迫する方法でも痛みの有無を確かめることが可能です。

脊椎|側面|靭帯

椎間関節のロックについて

急激な捻りや強い圧力が加わることで椎間関節に捻挫を起こした場合、痛みを回避するために椎間関節がロックされてしまい、身動きがとれない状態となります(いわゆるぎっくり腰)。

稀ではありますが、胸椎の椎間関節に捻挫が発生した場合は肋骨と胸椎がロックされてしまい、十分に胸郭を広げられずに呼吸苦を呈する場合もあります。

痛みは通常2-3週間で改善しますが、動きを制限しすぎると椎間関節の硬直化が進行し、慢性化してしまうケースもあります。

そのため、過剰な安静臥床は症状を悪化させることを理解し、早期の生活復帰が大切です。

硬直化を予防するためにも、ロックされた部位に【マニピュレーション】を施すことで早期回復が期待できます。

”【マニピュレーションとは】操作するという意味があり、筋や関節の治療に用いられるテクニックで、敏速に関節を動かすために患者は自らをコントロールできなくなる。

体幹後屈動作で痛みを誘発する

腰椎の過伸展で椎間関節への負担が増加することは説明しましたが、同時に脊柱管の狭小化も起こります。

脊柱管とは、椎体の後方でいくつもの椎骨が重なり合い、脊髄が通過する筒状の空間を脊柱管と呼んでいます。

体幹伸展動作では、椎間関節の重なりや黄色靭帯のたわみによって脊柱管が狭小化されることが報告されており、その割合は9%ほど減少するとされています。

しかし、これが狭窄症患者では平均で67%も狭小化するとされており、狭窄によって馬尾は阻血状態となり、下肢痛やしびれ感などを引き起こす原因となります。

脊椎|脊柱管狭窄症|黄色人靱帯

体幹の伸展動作を実施する上で確認すべきポイントは、①腰椎伸展、②骨盤後傾、③股関節伸展の三点です。

これらの各部位は連動して動くため、それぞれが正常なリズムで動いているかを確認する必要があります。動きが乏しい部位については、なにが原因かを調べていきます。

体幹伸展動作,腰椎伸展,骨盤後傾,股関節伸展

伸展動作を実施しているときの脊椎では、椎間板の後方に圧が集中するようになります。また、椎間関節への荷重割合が増加することになります。

椎間関節が狭まることで圧迫が生じ、場合によっては炎症を起こす可能性もあります。

脊椎|体幹伸展時

腰椎分離症がある場合も、伸展時に圧迫をきたすために痛みが出現する場合があります。

分離症は、一般の人では発生が5%程度であるのに対して、スポーツ選手では30-40%に発生していると報告されています。とくに10代で発症する場合が多いです。

以上のことから、体幹の伸展動作において痛みが出現する原因をまとめると以下になります。

  1. 椎間関節障害
  2. 脊柱管狭窄症
  3. 椎間板後方の損傷
  4. 脊椎分離症 etc.

 

体幹後屈動作で痛みが出現する場合は、これらの障害を疑ってみるようにして、どこに原因があるかを詳しく精査していくことが大切です。

体幹後屈動作で部位を特定する

私がよく実施する方法として、脊椎を固定しながら体幹伸展を加える方法があります。

具体的な方法として、背もたれのあるイスの上で正座をとり、腰に拳を入れて脊椎を伸展させていきます。

この拳を入れる位置が脊椎の固定部で、その直上の脊椎が選択的に伸展を促したい部位になります。

少しずつ拳の位置をずらしていきながら、最も腰が楽になる位置(または痛みが増強する位置)を探していき、原因部位を特定していくことになります。

椎間板障害の場所を突き止める

固定部に椎間関節障害があると痛みは起こらず、直上に障害があると痛みがより強く発現します。

椎間板症の場合は伸展で痛みが軽減するので、固定部の直上に障害があると痛みがより緩和されます。

そのようにして脊椎ごとに痛みの増減を確認していき、問題を起こしている脊椎レベルを見つけていきます。

脊椎固定による体幹伸展の効果

さらに体幹の側屈動作を加えることにより、椎間関節の左右どちらに問題があるかも突き止めていきます。

ちなみに、円盤投げとハンマー投げで日本記録保持者の室伏由佳選手(室伏広治の妹)は、片側性の椎間関節炎でひどい腰痛を長年患っていたそうです。

それは、投擲時に体幹を左に回転させる動作が原因となっていたようです。

効果的なリハビリテーションの考察

ここまでに椎間関節障害についての概要と鑑別方法を中心に記載してきましたが、実際にどのようなアプローチが効果的かを考察していきます。

基本的には反復の機械的刺激が原因であるため、まずは競技の中断が必要となります。運動習慣がない人では、体幹の伸展や回旋動作を伴う作業を控えるように説明します。

次いで、体幹の安定化機構を高めることで過剰な負担がかからないように調整していきます。

とくにスポーツをされている方では、動的なトレーニングの中で安定させていくことが推奨されます。その方法として、バランスボールなどが有効と考えられます。

慢性腰痛患者においては、腹横筋の発火時間の遅延が指摘されており、反応が遅れることで脊柱の不安定化が生じる可能性が示唆されています。

そのため、バランスボールにて発火の遅延を改善することにより、腰部への負担を軽減する効果が期待できると考えられます。

スイスボールでインナーマッスルを鍛える スイスボールでインナーマッスルを鍛える2

その他のアプローチとして、腰椎前弯が増加しているケースでは椎間関節への負担が増加するため、姿勢矯正についても検討していきます。

具体的な姿勢矯正については、「腰痛と姿勢の関係性~矯正方法についての図解~」の記事にまとめていますので、そちらをご参照ください。

体幹伸展を抑制するテーピング

画像検査や徒手検査にて問題となっている椎間関節が特定できたら、その部分の伸展動作を抑制するテーピングを行っています。

下図の黄色い○部分が障害部と仮定すると、上下から障害部に皮膚を集めるようにしながら貼付していきます。

脊椎分離症に対するテーピング治療|腰椎伸展可動域制限

テープは伸縮性があるものを選ぶことが大切で、お勧めは3Mのキネシオロジーテーピング(マルチポアスポーツ)です。

お勧めの書籍(Amazon)

私が執筆している腰痛症の治療に関する書籍も出版されていますので、腰痛について深く理解したい場合は、是非ともご購入を検討してみてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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