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胸腰筋膜の役割と腰痛の関係性について


姿勢保持に深く関わる胸腰筋膜についてわかりやすく解説していきます。

胸腰筋膜の概要

胸腰部の背側には、胸腰筋膜という線維性の筋膜が存在します。

胸腰筋膜は、最長筋と腸肋筋の筋膜ですが、いくつもの筋が付着して入り組んだ構造となっています。

姿勢とも密接に関わっており、胸腰筋膜の主な役割は、①脊柱-骨盤-下肢間の力伝達、②下部腰椎及び仙腸関節の安定化、③腰椎屈曲の制限です。

胸腰筋膜は浅葉(前葉)と深葉(後葉)に分けられます。下図は体幹の横断面を描いたものです。

腹部筋肉の横断面図|胸腰筋膜

胸腰筋膜の浅葉

浅葉は、広背筋、大殿筋、外腹斜筋、僧帽筋の一部と連続性を有しています。また、大菱形筋の下縁にも様々な厚さで付着しています。

腰背部の中心は背筋の浅層がないために皮下に現れ、著しく厚くなった胸腰筋膜の腱腰部となり、その大部分は広背筋、下後鋸筋、大殿筋の一部の起始となっています。

L5-S2の高さでは、広背筋と大殿筋の筋線維が異なった方向から合流するため、十字に交差した網状腺を呈しています。

胸腰筋膜|浅層

胸腰筋膜の深葉

後葉は、中殿筋、脊柱起立筋(最長筋、腰腸肋筋)、内腹斜筋、腹横筋、下後鋸筋、仙結節靭帯と連続性を有しており、腰肋筋膜と呼ばれることもあります。

骨盤領域では、上後腸骨棘、腸骨稜、後仙腸靱帯との結合もあります。背筋外側縁で、浅葉と癒合してこれを鞘状につつみ、同時に内腹斜筋および腹横筋の起始となります。

浅葉と比較して筋膜も薄く、筋の牽引力も弱いため、胸腰部背面の安定性に貢献する割合は少ないとされています。

胸腰筋膜|深層②

胸腰筋膜と腰痛の関係について

慢性腰痛患者では、多裂筋の萎縮を呈している場合が多いことが報告されています。多裂筋の役割は、主に脊柱(とくに下部腰椎)の安定化です。

このことから、慢性腰痛においては下部腰椎の不安定性が関わっていると考えられます。

また、多裂筋の筋力強化を実施した群では、腰痛の再発率が半数にまで減少したとの報告もあります。

この下部腰椎の安定化に貢献する重要な構成体は他にもあり、それが胸腰筋膜になります。胸腰筋膜は腰椎の硬さを増加させ、腰椎安定化に寄与します。

胸腰筋膜を強化するための筋肉

胸腰筋膜の安定化機構を高めるためには、連結している筋肉を鍛えることが必要となります。その中でもとくに、①広背筋、②大殿筋、③腹横筋は重要な役割を担っています。

胸腰筋膜は大殿筋と広背筋といった強力な筋肉を連結させ、効果的な機械的連鎖を形成しています。これらが同時に収縮することで、胸腰筋膜のより大きな緊張を実現できます。

腹横筋は胸腰筋膜の後層(深葉)や中層とのつながりを持っており、お腹周りを覆うようにして付着しています。そのため、仙腸関節や体幹の安定性に貢献しています。

よって、これらの筋肉を重点的に鍛えることで、強靱な胸腰筋膜を実現でき、腰椎の安定性を高めることができます。

胸腰筋膜に問題が起こった場合

胸腰筋膜に歪みなどが生じた場合、脊柱・骨盤・下肢間の力伝達がうまく行われなくなったり、下部腰椎や仙腸関節の不安定性を引き起こすことになります。

そうなると、筋肉への負担が増し、腰のだるさや痛みを感じるようになります。さらには、連結している大殿筋や広背筋の影響で、下肢や上腕部にまで障害は波及します。

また、関節部への負担も増すため、椎間関節障害や仙腸関節炎などを引き起こす原因にもなります。

筋膜への治療にはストレッチが最適

胸腰筋膜にアプローチしていく場合、大切なのは胸腰筋膜に手を加えることではなく、連結している筋肉の問題に着目することです。

例えば、右側の大殿筋に過度な緊張が認められる場合、胸腰筋膜は右下に引っ張られていることが予想できます。

その場合、リラクゼーション等で緊張を取り除いてから、筋肉をストレッチすることで胸腰筋膜も十分に伸張することができるようになります。

ひとくちに腰痛といっても原因となっている部位は様々であるため、まずはどこに根本的な問題があるかを正しく理解することが治療効果を上げるための鍵といえます。

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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