はじめに
「しゃがんだときだけポキッ」「階段でグリッ」「正座から立つとパキッ」——痛み・腫れ・可動域制限がなければ、多くは大きな異常ではありません。注意すべきは**“音+症状”が同時にある場合**です。
1. 膝の「音」の正体は主に3つ
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ガス抜け(キャビテーション)
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関節内圧の変化で気泡が弾ける音。指ポキと同じで基本は心配不要。
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腱・靱帯の“引っかかり”音
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膝蓋骨周囲を走る腱・靱帯がズレた位置から戻るときの「コリッ」。
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特定の角度だけで鳴るならこれが多い。
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関節面の摩擦音(クリピタス)
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膝蓋骨裏と大腿骨の軽い擦れ。加齢や使用量で増えることがある。
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痛みがなければ経過観察でよいことが多い。
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2. 受診したほうが安心な「鳴り方」
次のいずれかがあれば整形外科で評価を:
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音と同時に鋭い痛みが出る
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ロッキング(急に伸びない・曲がらない)がある
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腫れ・熱感・赤みが出る
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階段(特に降り)で毎回痛む
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スポーツ中にバキッ→数時間〜翌日に腫れる
半月板、膝蓋骨周囲、靱帯の問題を早めに見た方が近道です。
3. “音だけある人”によくある背景
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大腿四頭筋の張り
膝蓋骨を押さえつけて「コリッ」が出やすい。 -
股関節・足首の硬さ
膝が代償でねじれ、音が出やすくなる。 -
同じ姿勢が長い(デスクワーク)
動き出しの初動だけ鳴りやすい。 -
運動量は多いがケア不足
軽い摩擦増加だけのケースも。
4. 痛くない人のための簡単セルフケア
※すべて痛みが出ない範囲で行いましょう。
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大腿前面ストレッチ(30秒×2)
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立位で片脚の足首を持ち、お尻へ近づける。膝が前に出ないように。
→ 膝蓋骨周囲の“コリッ”軽減に有効。
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膝蓋骨モビライゼーション(10〜20秒)
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長座で膝を伸ばし、お皿を上下左右へやさしく動かす。
→ “引っかかり音”が出にくくなる。
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足首の大きな回旋(各10回)
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足首の可動が出ると、膝のねじれ代償が減る。
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浅めのスロースクワット(10回×1〜2セット)
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痛みのない深さでゆっくり。
→ 動かす頻度が増えると、鳴る回数が減る人も多い。
5. できるだけ鳴らしたくないときの工夫
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階段は一段ずつゆっくり(体重をドスンと落とさない)
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いきなり深くしゃがまない
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イスの高さを少し上げて立ち上がり角度を浅く
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体重が増え気味なら少し減量(荷重低下で音が減ることあり)
まとめ(臨床メモ)
無症候性の膝クリック/クリピタスは、膝蓋大腿関節のトラッキング不良、大腿四頭筋の柔軟性低下、股関節外旋や足関節可動の制限に伴う代償でみられがち。
痛み・腫脹・ロッキングがなければ患者教育とセルフケアで経過観察。症候が出る場合はPFJ負荷(深屈曲・階段下降)の一時コントロールと評価を。