はじめに
「足の外側(小指側)にだけタコができる」「靴の外側だけすり減る」「いつも小指の付け根が痛くなる」──これってほとんどの場合、足のどこかが“外に逃げる”歩き方になっているサインです。
今日はその代表的な原因と、自分でできるチェック・対策をまとめます。
1. なぜ“小指側だけ”にタコができるのか
タコは「そこに繰り返しの圧+摩擦が集中した」ところにできます。小指側にできるときは、だいたいこのどれかです。
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足が外側に倒れたまま着地している(外側荷重)
→ かかとが外側に傾く、足首が外に逃げる -
つま先の蹴り出しが親指側に移動していない
→ 本来は“かかと→足の外側→親指側”と荷重が移る -
靴の外側が減っていて、さらに外側に倒されている
→ 靴の影響で悪循環 -
小趾外転筋や長腓骨筋などの“外に引く筋”ばかり働いている
→ 内側アーチが使えていない
つまり、「外側に乗ったら内側に戻す」動きが弱いと、小指側にタコができます。
2. こういう歩き方をしていませんか?
以下のどれかに当てはまったら、外側荷重のクセが強い可能性大です。
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立っているときに、両足の外側だけで立ってる感じがする
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歩くとき、一歩ごとに足が“パタン”と外に倒れる
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靴底をみると、かかとの外側と前足部の小指側だけ削れている
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坂道や長時間歩行で、小指の付け根や足の外側がしびれる・痛い
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O脚ぎみで、膝も外に開きがち
こういう人は「外に行きやすい+中に戻しにくい」ので、タコが偏りやすいです。
3. 自分でできるかんたんチェック
チェック①:片足立ちで親指に乗れるか
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はだしで立って片足立ち
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そのまま、親指の付け根(母趾球)に体重を寄せられるかみる
→ ここでグラついて親指側に寄れない人は、“戻す力”が弱いです。
チェック②:足の裏のしわ
座って足をパッと見たとき、外側のしわが深くて、内側(土踏まず側)は平らなら、ふだんから外に乗ってる可能性があります。
チェック③:靴底の減り方
かかと外側 → 小指側前足部の2点減りならほぼ外側荷重。
新品を1〜2ヶ月でそうさせる人は、足だけじゃなく歩き方にもクセがあります。
4. 改善の考え方はシンプルで「外に行きすぎたのを戻す」
やることは3つだけです。
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足首を内側にも動かせるようにする(可動域)
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足の親指側で支える筋肉を使う(筋トレ)
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靴でさらに外側に倒されるのを止める(環境)
順番にいきます。
5. 可動域:足首を“内側に”も動かす
外側荷重の人は、足首が外に倒れる(外反)ばかりで、内に寄せる(内反)動きがサボってます。
エクササイズ① 足首イン・アウトゆらし(30秒×2セット)
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椅子に座って足を軽く浮かせる
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つま先を外に倒す→内に倒すをゆっくり繰り返す
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内に倒すときに、親指側を軽く見せるイメージ
※ 痛い人は角度を小さく。
6. 筋トレ:親指側で踏む力をつける
ここが一番大事です。外側に乗る人は、後脛骨筋や足底の内側の筋が弱い/使えてないことが多いです。
エクササイズ② タオルギャザー(内側意識Ver.)
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椅子に座って床にタオルを敷く
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親指〜第2趾をメインにタオルをたぐり寄せる
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小指で引っ張らないようにする
→ 30秒×2〜3セット
エクササイズ③ 親指で床を押すだけ(立位でOK)
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ふだん通りに立つ
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足を外に広げすぎない
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親指の付け根だけをグッと床に押す
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3秒キープ→力を抜く
→ 10回
※ これを「片足に体重を移したときにもできるか」が将来的な目標です。
7. 歩き方の意識:最後に“親指でポン”をつける
歩くとき、外側荷重の人は「外で着いて外で終わる」動きをしています。
ここに**“最後だけ親指で地面を軽く押す”**を足しておくと、荷重が内側に戻るようになります。
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かかとで着く
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足の外側を通る
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最後に親指でポンと押して終わる(強くなくていい)
力じゃなくて「通過させる」のが大事です。
8. 靴で悪化してるパターンも多い
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外側だけすり減った靴をそのまま履き続ける
→ さらに外に倒されてタコが進行 -
幅が狭くて小指側が圧迫されている
→ 逃げ場がないので小指側の摩擦が増える -
かかとのカップがゆるいスリッポン系
→ かかとが倒れやすくて外側荷重が固定
できればかかとがしっかりしていて、前足部に少し余裕がある靴に変えると、エクササイズの効果が出やすくなります。
9. それでも痛いときに疑うこと
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中足骨頭部痛(特に第5)
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稀に腓骨神経のテンション増加
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足根骨の小さなアライメント不良(距骨・立方骨)
こういうときは「親指で押すと余計痛い」「何をしても小指根元がズキッとする」ので、徒手で足根部を一度動かしてもらうと早いです(ここは専門職への誘導にしておくといいところ)。
まとめ
足の小指側だけにタコができるのは、外側に乗った体重が親指側へ戻ってこない歩き方になっているからです。足首を内側にも動かせるようにして、親指の付け根で床を押す癖をつけ、外側が減った靴をやめるだけでもタコの進行はかなりおさえられます。