はじめに
-
マッサージを受けると、その日はすごく楽
-
でも、2〜3日、早いと翌日には元どおり…
-
気づけば「次の予約まで我慢する」生活
こんな状態が続くと、
「自分の体はもうマッサージし続けるしかないのかな…」
と不安になりますよね。
結論から言うと、
マッサージが「悪い」わけではなく、
役割が一時的な鎮痛に偏りすぎている
ことが原因になっているケースが多いです。
ここでは、
-
なぜ“楽だけどすぐ戻る”のか
-
何を変えると「戻りにくくなる」のか
-
マッサージや整体を上手に使うコツ
を、できるだけわかりやすくまとめます。
1. なぜマッサージは「その場だけ」になりやすいのか
1-1. マッサージの主な効果は「一時的なリセット」
マッサージや揉みほぐしで起きていることは、ざっくりいうと
-
筋肉の血流アップ
-
神経の興奮が一時的に下がる(痛みの感じ方が鈍くなる)
-
リラックスして自律神経が整う
といった一時的なリセット効果がメインです。
つまり、
そのとき溜まっていた「疲れ・張り・ストレス」を流してくれるが、
“溜まりやすい体の使い方”そのものは変わっていない
ことが多い、ということです。
1-2. 痛みの「元栓」が締まっていない
痛みやコリには、こんな「元栓」があります。
-
同じ姿勢・同じ動きの繰り返し負担
-
筋力不足・柔軟性不足などの体の準備不足
-
睡眠不足・ストレス・不安などの神経の過敏さ
マッサージで
-
一度溜まった水(コリ・疲労)をバケツから捨てる
ことはできますが、
-
上からザーザー流れてくる蛇口(元栓)
を閉めない限り、またすぐに溜まってしまいます。
2. 「戻りやすい人」に共通する3つのパターン
2-1. 同じ姿勢・同じ動きが多すぎる
-
一日中デスクワーク
-
スマホ時間が長い
-
立ちっぱなし・中腰の作業が多い
など、「体の使い方のパターン」が固定されていると、
-
負担がかかる場所もいつも同じ
-
そこだけがどんどん疲れやすく、凝りやすくなる
→ マッサージで一度楽になっても、同じ負担がまた積み重なっていきます。
2-2. 筋力・柔軟性が足りず「ラクな姿勢」が取れない
-
体幹・殿筋が弱くて、腰で頑張るクセがある
-
股関節や胸椎が硬く、首や腰が無理をしている
-
足の指が使えず、ふくらはぎや太ももで踏ん張っている
など、
本来は大きな筋肉や関節で負担を分散すべきところを、
一部の筋肉だけで支え続けている
パターンも多いです。
この場合、どれだけマッサージしても
「結局いつも同じ筋肉にしわ寄せ」
が来てしまいます。
2-3. 神経が「痛みに敏感モード」になっている
-
寝不足が続いている
-
仕事や家庭のストレスが強い
-
「また痛くなるんじゃないか」と常に不安
このような状態だと、脳や脊髄の**「痛みのボリュームつまみ」**が上がりっぱなしになり、
-
いつも以上に痛みを強く感じやすい
-
少しのコリでも「すごくつらい」感覚になる
ことがあります。
マッサージで一時的にはボリュームが下がりますが、
生活全体のストレスや睡眠状況が変わらないと、
またボリュームが上がって「元の木阿弥」になりやすい
のです。
3. 「戻りにくくする」ために変えるべき3つのポイント
3-1. まずは「同じ姿勢が続きすぎない」工夫
姿勢そのものより、“同じ姿勢の時間”を減らすほうが効果的です。
デスクワークの例
-
30〜40分ごとにタイマーをつけて、
-
立って伸びをする
-
トイレや給湯室まで歩く
-
-
座る位置をわざと変える(浅く座る/深く座る)
-
スマホを見る時は、
-
できるだけ目の高さ近くまで持ち上げる
-
「理想の姿勢をずっとキープ」ではなく、
「姿勢をちょこちょこ変える」
ほうが、体は楽になりやすいです。
3-2. 少しずつ「自分で動かす」「支える」筋肉を育てる
マッサージでほぐしつつ、少しずつ“自分で動かす時間”を足していくのがポイントです。
例:肩こりの場合
-
肩甲骨をぐるぐる回す
-
前回し・後ろ回しをそれぞれ10回ずつ
-
-
胸を開くストレッチ
-
両手を後ろで組んで、胸を軽く張る(10〜20秒)
-
-
軽いダンベル(ペットボトルでもOK)での
-
肩の横上げ・前上げを少しだけ行う
-
例:腰痛の場合
-
仰向けで膝を立てて、
-
骨盤を前後にゆっくり転がす
-
-
膝を立てたまま、
-
片方ずつ左右に倒してゆっくり戻す
-
-
痛みが落ち着いてきたら、
-
軽いブリッジ(お尻上げ)を数回
-
こうした**「軽く動かす習慣」**がつくと、
筋肉・関節が「固まりにくい体」へ少しずつ変わっていきます。
3-3. 睡眠・ストレスを少しでも整える
いきなり生活を全部変えるのは無理なので、**“1つだけ”**でもいいので調整してみましょう。
-
寝る直前のスマホ時間を15〜30分短くする
-
帰宅後すぐ熱いお風呂に入るのではなく、
-
ぬるめの湯で10〜15分温まる
-
-
寝る前に
-
深呼吸や軽いストレッチを入れて、体を「お休みモード」に切り替える
-
「よく眠れた日」の翌日は、
同じ仕事量でも、痛みやコリが軽く感じる
という人は多いです。
神経が「敏感モード」から少し下がるだけでも、“戻りやすさ”は変わります。
4. マッサージ・整体を「卒業する」のではなく、賢く使う
4-1. 目標を変える
-
× 「マッサージで全部治してもらう」
-
○ 「マッサージでリセットした状態を、自分のケアで延長する」
という発想に切り替えるだけでも、受け方が変わります。
4-2. 施術者に伝えると良いこと
-
「揉み返しが起きやすい/起きにくい」
-
「その日は楽だけど、何日くらいで戻るか」
-
「仕事や生活でよく取ってしまう姿勢」
こうした情報を共有すると、
「その場限り」ではなく、「戻りにくくするためのアドバイス」ももらいやすくなります。
5. こんなときは医療機関の受診を
マッサージやセルフケアで様子を見てはいけないケースもあります。
次のような症状があれば、整形外科や内科などの受診をおすすめします。
-
痛みがどんどん強くなっている
-
夜中に目が覚めるほどの強い痛み
-
手足のしびれ・力の入りにくさが出てきた
-
発熱・体重減少・原因不明のだるさを伴う
-
転倒・事故など、はっきりしたケガの後から痛みが続いている
まとめ:「マッサージ+α」で“楽な状態”を伸ばしていく
-
マッサージは一時的にリセットする役割がメイン
-
「戻りやすい」背景には
-
同じ姿勢・同じ動きの繰り返し
-
筋力・柔軟性不足
-
睡眠・ストレスなどによる“痛みの敏感モード”
が関わっていることが多い
-
-
姿勢を変える、少しだけ動く、睡眠を整えるといった
「元栓」に近い部分を少しずつ変えることで、
マッサージの効果が「続きやすい体」に近づいていく
「マッサージをやめる」のではなく、
「マッサージで整えた状態を、自分の体づくりで伸ばす」
この発想で少しずつ取り組んでいくと、
“マッサージ難民”から抜け出すヒントが見えてきます。