外閉鎖筋(obturator externus)

外閉鎖筋の概要

外閉鎖筋の起始停止

外閉鎖筋は股関節の深層外旋六筋のうち最も前面・深層にある筋。閉鎖膜の外面と周囲骨から起こり、大腿骨大転子の転子窩へ向かう。骨盤内から坐骨孔を通って出る内閉鎖筋と異なり、小坐骨孔は通過しない。主作用は股関節外旋で、軽い内転補助と**大腿骨頭の求心化(関節安定化)**にも寄与する。

基本データ

項目 内容
支配神経 閉鎖神経
髄節 L3-4
起始 閉鎖膜(外面)および閉鎖孔周縁の恥骨・坐骨外面
停止 大腿骨大転子の転子窩(trochanteric fossa)
栄養血管 閉鎖動脈
動作 股関節外旋内転(わずか)求心化(前方滑り抑制)
筋体積 8
筋線維長 3.0
速筋:遅筋(%) 50.050.0

ポイント:外閉鎖筋は“前方深層の外旋筋”。後方の下双子筋・大腿方形筋に覆われる位置関係をイメージすると走行が掴みやすい。

機能と臨床メモ

  • 外旋トルクに実質寄与。ニュートラル〜軽屈曲位で働かせやすい。

  • 求心化:屈曲・荷重位で大腿骨頭を臼蓋へ押し戻す方向に張力を与える。

  • 術後・外傷:後方アプローチTHAでは短外旋筋群修復が安定性に重要。後方脱臼の既往深部外側痛では評価対象。

  • 鑑別大転子下内側〜外旋時の深部痛外閉鎖筋/大腿方形筋の過緊張を疑う。


触診・評価(MMTのコツ)

  • 体位腹臥位または座位。股関節は0–20°屈曲中間回旋から。

  • 動作股関節外旋を指示(膝90°屈曲で下腿内方へ倒すと外旋が出やすい)。

  • 抵抗脛骨遠位を内旋方向へ押し戻す(股関節は外旋努力)。

  • 触診:直接の表在触診は困難。大転子下内側の深部圧抵抗外旋での深部痛変化で推定。

  • 代償骨盤回旋・腰椎伸展膝だけの回旋に注意。腸骨稜固定足部の支持で制御。


ストレッチ

  • 目的外旋筋の伸張=股関節内旋方向

  • 方法(例):腹臥位で膝90°屈曲、**足部を外側へ倒して股関節“内旋”**をゆっくり増やす。

  • 注意骨盤の反対回旋や腰椎代償を抑え、股関節そのもので伸張感を得る。


筋力トレーニング

  • 座位/長座のバンド外旋:足部前方にバンドを固定し、股関節から外旋

  • クラム(小可動域)骨盤中間位・腰椎中立TFL・大殿筋の過活動を抑え、股関節回旋軸を意識。

  • コツ:膝だけ開かず、大腿骨頭が臼蓋内で回る感覚をキューに。


Q&A(よくある疑問)

Q1:外閉鎖筋と内閉鎖筋、どう見分ける?
A:外閉鎖筋=前面深層・小坐骨孔を通らない内閉鎖筋=骨盤内から腱が小坐骨孔を通過し、双子筋と腱融合して走る。

Q2:外旋トレで大殿筋にばかり効く
A:股関節屈曲を抑え(0–20°)骨盤固定小可動域の等尺から始める。膝で回さず“骨頭の回旋”を意識。

Q3:どの肢位で働かせやすい?
A:ニュートラル〜軽屈曲・中間回旋。深屈曲や過度な内外旋では他筋(梨状筋・大殿筋)が優位になりやすい。

Q4:深部の前外側股関節痛に関係する?
A:可能性あり。外閉鎖筋は大腿骨頸部前面をまたいで転子窩へ向かうため、求心化不全や過用で深部痛を訴える例がある。

Q5:ストレッチで腰が反る
A:骨盤固定不足上前腸骨棘を軽く押さえる/腹圧を入れると代償が減る。


最終更新:2025-10-07