後頭下筋群(suboccipital muscles)

後頭下筋(群)について

後頭下筋群

**後頭下筋群(suboccipital muscles)**は、後頭部の深層に位置する4つの小さな筋の総称で、**後頭下神経(第1頸神経後枝)**に支配されています。

これらの筋は頭部を支える深部筋群であり、微細な運動制御や頭位の安定化に重要な役割を果たしています。
頭部の伸展可動域は**単独で約25°、頚部と複合で約45°**まで可能とされます。

①大後頭直筋(rectus capitis posterior major)

大後頭直筋

項目 内容
支配神経 後頭下神経(C1後枝)
起始 C2(軸椎)の棘突起
停止 下項線の中央部
動作 両側:頭部後屈 / 片側:同側回旋

②小後頭直筋(rectus capitis posterior minor

小後頭直筋

項目 内容
支配神経 後頭下神経(C1後枝)
起始 C1(環椎)の後結節
停止 下項線の内側1/3
動作 両側:頭部後屈 / 片側:同側回旋

③上頭斜筋(obliquus capitis superior)

上頭斜筋

項目 内容
支配神経 後頭下神経(C1後枝)
起始 C1(環椎)の横突起
停止 下項線外側(大後頭直筋停止部の上方)
動作 両側:頭部後屈 / 片側:同側側屈・反対側回旋

④下頭斜筋(obliquus capitis inferior)

下頭斜筋

項目 内容
支配神経 後頭下神経(C1後枝)
起始 C2(軸椎)の棘突起
停止 C1(環椎)の横突起
動作 両側:頭部後屈 / 片側:同側側屈・反対側回旋

後頭下筋群の触診法

基本姿位

  • 被検者:仰臥位または伏臥位

  • 頭頚部:わずかに前屈(後頭下スペースを広げる)

  • 検者:後頭部の下から両手指で軽く支持


触診ポイント

筋名 触診のコツ
大後頭直筋 外後頭隆起から外下方にたどる。後頭骨直下に硬い索状物として触れる。
小後頭直筋 外後頭隆起のすぐ下、正中付近に触れる小さな筋。深部で触知はやや困難。
上頭斜筋 外後頭隆起のやや外側から外後方へ。耳の後ろ(乳様突起)に向かう細長い筋。
下頭斜筋 C2棘突起とC1横突起を結ぶ線上に位置。耳の後ろ下からやや内下方を走る。

※深層筋なので、強圧は避けて軽く圧迫→緩めるの繰り返しで確認します。


後頭下筋群のリリース法

① 軟部組織モビライゼーション(徒手)

  • 被検者仰臥位で後頭部を軽く持ち上げる。

  • 両母指を外後頭隆起のすぐ下に当て、軽く押圧しながら円を描くように動かす

  • 片頭側ずつでもOK。

  • 圧迫は痛気持ちいい程度(過剰な圧は筋防御を招く)


② サブオクシピタル・リリース(持続圧迫法)

  • 被検者仰臥位、検者は後頭部下に指を差し入れる。

  • 後頭骨の下縁に指腹をひっかけて持ち上げるように持続圧を加える

  • 30秒~1分保持、ゆっくり解除する。


③ セルフリリース(マッサージボール)

  • 床に仰向けになり、テニスボールやマッサージボールを外後頭隆起の下に2個並べて置く

  • 軽く頭を左右に揺らして、後頭下筋群に持続的な刺激を与える。


トリガーポイント(TP)

  • 関連痛:後頸部の内側から眼窩奥~前頭部へ広がる。片頭痛様の全体痛として感じることも。

  • 誘因:前かがみ姿勢・長時間の細かな頭部運動、情動ストレス、僧帽筋TPからの衛星TPなど。


臨床での注意点

  • 過剰な圧迫は椎骨動脈を圧迫するリスクがあるため、強圧は禁忌。

  • リリース中にめまい・吐き気・視覚異常が出た場合は即中止する。

  • 頸性頭痛や上位頸椎性めまいの患者では評価と治療を慎重に行う


Q&A

Q1. 後頭下筋群はどんな役割がある?
A. 頭部を支え、微細な姿勢制御や眼球運動と連動した安定性に寄与します。

Q2. 後頭下筋群が硬くなるとどうなる?
A. 頭痛や頸部の可動域制限を引き起こしやすく、頚性頭痛の原因となることもあります。

Q3. どんな動きで後頭下筋群が働く?
A. 頭部の後屈や回旋、側屈などの小さな運動で活動します。

Q4. トレーニングやリリース方法は?
A. 軽い後屈運動や頸部のストレッチ、マッサージボールで後頭骨下を優しくほぐす方法が有効です。


最終更新:2025-10-26