緊張性頭痛(筋骨格性頭痛)のリハビリ治療

まず概要(片頭痛との違い)

  • 緊張性頭痛:両側〜片側の締めつけ/圧迫感。日常動作で悪化しにくい。吐き気は基本なし(あっても軽い)。光or音のどちらかがまぶしいことはあるが、両方強いことは稀。

  • 片頭痛:多くは片側のズキズキ体を動かすと悪化。吐き気/嘔吐、光・音ともに辛いが出やすい。

いきなりの激痛・発熱・ろれつ障害・手足の麻痺・項部硬直・外傷後の痛みは至急受診を。


なぜ起こる?(メカニズムの要点)

  • 筋・筋膜性の過緊張血行低下が中心。長時間の同一姿勢、ストレス、睡眠不足、歯ぎしり/食いしばり、画面凝視が誘因。

  • 臨床的に関連しやすい“筋・筋膜ライン”

    • 後方ライン:頸部伸筋群〜帽状腱膜(おでこ・頭頂の重だるさ)。

    • 外方ライン:僧帽筋上部・咬筋〜側頭部(こめかみの張り、歯ぎしり)。

    • 外旋ライン:肩甲挙筋・胸鎖乳突筋〜側頭部(耳上の痛み、顎関節症に同伴)。


まずここから(セルフチェック)

  • 指で軽く触れて僧帽筋上部・肩甲挙筋・胸鎖乳突筋・側頭筋に圧痛や硬結は?

  • 食いしばり(起床時の顎のこわばり、歯面の磨耗)や猫背+前首姿勢は?

  • 痛みは夕方〜夜に悪化/休息で軽快?


治療・セルフケア(やる順番)

① まず血流を戻す(3〜5分)

  • 温熱:蒸しタオルを首〜肩に。

  • 呼吸:鼻3秒吸う → 口すぼめ6–8秒×6(肩のすくみを下げ、頸筋の緊張を低減)。

② 姿勢の初期設定(30秒)

  • 椅子で座面深く、坐骨に均等荷重

  • みぞおちをそっと前上へ(反りすぎない)。

  • あごは軽く引く(チンタック)。画面は目線の高さへ。

③ 痛み筋のリリース(各30–60秒、痛み0–3/10)

  • 後頭下筋:後頭骨の付け根を指腹で優しく“押して待つ”。

  • 肩甲挙筋:首を軽く前屈+反対側へ傾け、同側肩を下げる。

  • 胸鎖乳突筋:のどを避け、耳の下から鎖骨へ“つまむように”軽圧で流す。

  • 側頭筋:こめかみを円を描いて軽擦。

強すぎる圧は逆効果。**「気持ちいい弱さ」**が原則。

④ 弱い筋のスイッチON(各10回×2)

  • 深頸屈筋(チンタック):舌先を上顎につけ、二重あごを作るように5秒保持。

  • 前鋸筋・僧帽筋下部:壁スライド+肩甲骨を軽く外上へ“そっと”滑らせる。

  • 顎弛緩:唇を閉じ上下歯は離す(“Nポジション”)→食いしばりブレーキ。

⑤ 生活のコツ

  • 30–60分ごとに30秒の姿勢リセット(立つ/肩回し/チンタック)。

  • 画面は目線の高さ、キーボードは肘90°

  • 睡眠水分カフェインの量を整える。

  • 鎮痛薬は連用しすぎると薬剤過剰使用頭痛のリスク。医師・薬剤師へ相談し、週2–3回以内を目安に。


セラピスト向けの介入ヒント

  • 評価:頸部可動域、圧痛点、顎・側頭筋の緊張、姿勢(前方頭位/肩甲帯)

  • 介入:頸胸移行部モビライゼーション、後頭下筋・肩甲挙筋の持続伸張、前鋸筋/下部僧帽の促通、咬筋・側頭筋の軽圧リリース

  • 行動療法:作業姿勢の分割、ストレス対処(短い呼吸法・マイクロブレイク)。


受診の目安(レッドフラッグ)

  • 稲妻様の突然の激痛発熱・項部硬直意識障害/麻痺/ろれつ障害がん/免疫抑制/妊娠中頭部外傷後。いずれも即受診


よくある質問(Q&A)

Q1:運動で悪化することは?
A:緊張性は軽い運動でむしろ軽快することが多いです。悪化するならフォームや強度を見直し、片頭痛が疑わしい時は中止。

Q2:首のボキボキは効きますか?
A:過度なスラストは推奨しません。まずは低負荷の動きと呼吸・温熱で。施術は有資格者に。

Q3:デスクワーク中は何をすれば?
A:チンタック3回+肩すくめ→ストン3回+口すぼめ呼気6秒×31時間ごとに。

Q4:歯ぎしりが強いです
A:日中は**“上下歯は離す”を合図として貼りメモ。就寝時症状は歯科でスプリント**を相談。


最終更新:2025-10-08