胸横筋(transversus thoracis)

胸横筋

胸横筋1

胸骨裏面から肋軟骨の内面へ扇状に走る薄い筋。努力性呼気で肋骨(肋軟骨)を下制し、胸郭をしぼめるのを助けます。安静呼気では横隔膜の弛緩が主役で、胸横筋は強く吐く・咳をする・吹奏などで活動が高まります。

基本データ

項目 内容
支配神経 肋間神経
髄節 Th2-6
起始 胸骨体・剣状突起の後面(内側面)
停止 第2–6肋軟骨の内側面(背側面)
動作 努力性呼気で肋軟骨を下制(胸郭容積↓)

位置関係と臨床メモ

  • **内胸動静脈(内胸動脈)**は胸骨縁からやや外側、胸横筋と肋軟骨の間を走行。CABG(バイパス手術)や胸腔鏡手術で重要なランドマーク。

  • 胸骨縁の圧痛や咳の反復で過緊張を呈すると、前胸部のつっぱり感深呼気での違和感として自覚されることがあります。

触診のコツ(評価のヒント)

  • 直接触診は困難(胸郭内面の深層)。臨床では

    1. 胸骨縁〜第2–6肋間の圧痛

    2. 強制呼気での胸郭前面の可動低下

    3. 口すぼめ呼気での胸骨下制の遅れ
      などで機能低下/過緊張を推測します。

呼気強調ドリル(自宅可・1〜2分)

  • 鼻で3秒吸う → 口すぼめで6–8秒吐く。吐き終盤にフッ・フッと2回短い追加呼気。

  • 胸骨の内下方向へのわずかな沈みを意識。痛みが出るほど吐かない。

前胸壁の軽いモビライゼーション

  • 仰臥位で片手を胸骨上に置き、吐く時に1–2cmだけ内下方へ誘導。吸う時は力を抜く。10呼吸。


よくある質問(Q&A)

Q1:外肋間筋・内肋間筋と役割はどう違う?
A:外肋間筋は主に吸気補助、内肋間筋(骨間部)は努力性呼気。胸横筋は肋軟骨を直接下げて呼気を助けます。
(=肋骨“骨部”中心か“軟骨部”中心かの違いも覚えると整理しやすい)

Q2:安静時にも鍛えるべき?
A:安静時は不要。咳が続く/強く吐く競技(吹奏・ランの終盤など)で負担が高まりやすいので、その場合は呼気ドリルや胸郭可動性エクササイズが有効です。

Q3:胸骨縁の痛みは胸横筋のせい?
A:肋軟骨炎・肋間神経痛・胸骨柄のストレス反応など鑑別が必要。圧痛点の局在とストレス歴、深呼吸での増悪、必要なら画像や内科評価も検討します。