大腿外側皮神経麻痺のリハビリ治療について、わかりやすく解説していきます。
大腿外側皮神経の概要
外側大腿皮神経(L1-3)は知覚のみの神経です。
大腰筋の外側から出て上前腸骨棘に向かって下方外側へ斜めに走行し、鼠径靭帯の下を通って大腿に至ります。
そこから筋膜を貫通して筋膜上に現れて前枝と後枝に分かれ、それぞれ大腿外側部の前面と後面の皮膚に分布します。
大腿外側皮神経の支配筋肉
皮枝のみであり支配筋肉はありません。
大腿外側皮神経の知覚領域
大腿外側皮神経の主な絞扼部と障害名
絞扼部 | 名称 |
鼡径部外側 | 鼡径靭帯症候群 |
大腿部 | - |
鼡径靱帯症候群
外側大腿皮神経は、鼡径靭帯の下を通過して、縫工筋の内側を折れ曲がる(約80度)ように出ていっています。
そのため、縫工筋に炎症が起きて腫れたり、股に食い込むような窮屈なズボンや下着を付けることで容易に圧迫されてしまいます。
この部位での圧迫は前枝と後枝に枝分かれする前ですので、外側大腿皮神経の支配領域すべてに知覚異常が生じます。
リハビリテーション
まずは絞扼部位を見つける必要があるので、上述した最も絞扼されている可能性が高い鼠径部外側を評価します。
具体的には上前腸骨棘下(鼡径部外側)で大腿外側皮神経に圧を加えるようにして、症状の再現性や憎悪をみていきます。
症状が確認できたらこれまでの生活状況からなぜ発生したのかの原因を特定し、圧迫されないように生活指導を行います。
縫工筋との癒着などの問題が考えられる場合は、縫工筋の起始付近を指先で把持して左右に揺らすように動かして剥離してください。