要約(1分でわかる)
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膝OAの痛みは荷重線(体重の通り道)と関節周囲筋の使い方の影響が大きい。
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歩行は「短めの歩幅×やや高めの歩調」「体幹わずか前傾」「股関節で進む」が基本。
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靴は「ロッカーソール/軽量で屈曲線が母趾MTP直下」「ヒール高低差は少なめ」。杖は痛い側と反対手。
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痛み基準は0–3/10に収め、週次で距離・時間・強度のどれか一つだけを増やす。
1. なぜ“歩き方”で痛みが変わるのか
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内側コンパートメントの圧は、歩行時の**膝内反モーメント(KAM)**が大きいほど増えやすい。
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荷重線が膝の内側に寄るほどKAMは上がる。逆に、体幹のわずかな前傾・股関節主導・短い歩幅はピーク負荷を抑えやすい。
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目的は「負担を散らしつつ歩数を確保」すること。完全回避より適量の活動が軟骨・筋力・代謝にプラス。
2. 今日からできる“痛みを増やしにくい”歩行フォーム
基本フォーム(3つのキュー)
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一歩を短く:つま先が遠くに着地しない(過剰なヒールストライクを避ける)。
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リズムはやや速く:**歩調(cadence)を+5〜10%**上げる意識。
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股関節で進む:膝で踏み込むより、お尻(股関節伸展)で体を運ぶ。体幹はわずか前傾。
目線・腕振り・足部
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目線は水平、胸は張り過ぎず肋骨を軽く下げる。
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腕は肘を軽く曲げて小さめに振る(体幹の回旋で歩幅を稼がない)。
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足部はややアウトトー(5–10°)にすると内側偏荷重が和らぐことがある。踵着地は静かに。
3. 痛みを下げる“歩行パラメータ”の調整
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歩幅(step length):基準より**−5〜10%**。
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歩調(cadence):基準より**+5〜10%**。メトロノームアプリで合わせると再現性UP。
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速度:痛み0–3/10を維持できる範囲で。痛みが上がるときは速度より歩幅を先に調整。
コツ:**「短く・速く・静かに」**を合言葉に。痛みが上がる時は 短く→遅く→休む の順で戻す。
4. 靴・インソール・杖の使い分け
靴
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ロッカーソール(前足部ロッカー):蹴り出し時の膝屈曲トルクを軽減。
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軽量+屈曲線が母趾MTP直下:前足部の“曲がる場所”が正しい靴は推進がスムーズ。
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ヒール高低差は少なめ(0〜6mm程度)。高すぎると前方荷重で膝負担が増えることも。
インソール
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内側ウェッジは人により効果が分かれる。痛み0–3/10で歩行が安定するかを実地で判定。
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土踏まずの支えは“硬すぎない”を選び、踵カップが深いものは安定感◎。
杖
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痛い側と反対手に持つ(例:右膝が痛い→左手)。
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長さは靴を履いて腕を自然下垂、手首の高さがグリップ目安。
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階段:上りは健側先行/下りは杖と患側同時(安全最優先)。
5. 家でできる補強エクササイズ(1日10分)
すべて痛み0–3/10で。週2–3日は休息日に。
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ミニスクワット(椅子タッチ) 10回×2
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お尻を引くヒンジ型。膝は内側に入れない。
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サイドステップ(ミニバンド) 10歩×2往復
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骨盤水平、足はつま先やや外。中殿筋を“張る”感覚。
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カーフレイズ(つま先立ち) 12回×2
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ふくらはぎの弾性を回復。静かに上げ下げ。
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ハムブリッジ 10秒保持×6
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膝をやや曲げて踵荷重。もも裏とお尻を感じる。
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足趾グー・パー 20回
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前足部の支持を整え、蹴り出しを安定。
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6. ウォーキングの週次プラン(4週間)
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Week1:10–15分×週5、平坦・短歩幅+やや高歩調。
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Week2:15–20分×週5、1日おきに+5分。
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Week3:20–25分×週5、軽い勾配またはやや速歩を1日追加。
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Week4:25–30分×週5、時間・距離・速度のうち1つだけ10%増。
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痛みが4/10以上になったら、その日の負荷を−20〜30%に調整。翌日は完全休養かエクササイズのみ。
7. 日常での“負担が溜まらない”動き方
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立ち上がり:足は肩幅+やや外向き、鼻→膝→つま先が一直線上を通るように前傾してから立つ。
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方向転換:膝を捻らず足裏を小刻みに回す。
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長時間座位:30–45分毎に30–60秒立って足踏み。
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荷物:片手持ちを避け、リュックを基本に。
8. 受診の目安(レッドフラッグ)
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夜間痛や安静時激痛、急な腫脹・熱感、外傷後の強い痛み。
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ロッキング感や膝崩れが頻発。
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保存的対策を6–8週続けても改善が乏しい。
9. よくあるQ&A
Q1. 走ってもいい?
A. 痛み0–3/10で翌日残存がなければジョグインターバルから。まずは歩:走=3:1で1ブロック10分、週2回。
Q2. サポーターは常用して良い?
A. 痛みが強い時期の活動許容を広げる目的なら有効。常用で筋力低下が心配な場合は運動併用を前提に。
Q3. 減量は本当に効く?
A. 膝の関節反力は体重の数倍かかる局面があり、数kgの減量でも実負荷差が大きい。可能な範囲で食事+歩数確保を。